29歳女性が過換気症候群・心臓神経症として開業医の先生から紹介された。今まさに過換気のなっているわけでもない。紹介状は簡単なもので、紹介目的がよくわからない。数回過換気の発作を起こすので、予防するような治療を依頼しているのかと思った。
4月から仕事を開始して1時間くらいすると息が苦しくるという。最初は急に息が苦しくなって、別の内科クリニックを受診した。治療の内容はわからないが、点滴をして帰されたという。その後も息苦しさは続いていたが、仕事は続けていた。また同様に苦しくなって、別の病院に救急搬入された。過換気症候群といわれたそうだ。その後、紹介先のクリニックを受診して、安定剤が処方されたが、症状は変わらなかった。
夜間~朝方にかけて、特に症状が悪化するということはない。咳が出やすいのはあるというが、会話中特に咳はしなかった。しつこく喘鳴の有無を訊いたが、ないそうだ。これまで苦しくてクリニックや病院を受診した時に、喘鳴があれば喘息発作と診断されるだろうから、なかったのだろうか。息が苦しいと、手指がしびれるという。後頭部の重苦感もある。若い女性が(結果としての症状かもしれないが)過換気で手指がしびれると言えば過換気症候群とされるだろう。
この方は食品工場(冷凍食品)に10年以上勤務している。ずっと粉チーズを扱う部署で仕事をしていたが、特に症状はなかったという。それが今年の4月から別の粉を扱う部署に替わった。その後から症状が出始めている。毎日息苦しい感じが続いていて、急に増悪することが数回あったという。粉とだけ表現して、小麦粉かと訊いてもよくわからないらしい。休みは不定期だが、休みの日は症状がない。5月の連休中は、ラインを止めるので数日医仕事が休みになったが、調子が良かったそうだ。
受診時に聴診で異常音はなかったが、息苦しい感じは少しあるという。バイタルは正常で、酸素飽和度は99%(室内気)。胸部X線・心電図・スパイロは異常なし。アレルギーの検査をセットで提出した(外注)。
仕事に関しては休みたくないと思っているようで、ストレスが多いということでもない。これは食品(扱っている粉)によるアレルギーの症状が疑われた。前の粉チーズの部署は機械化されてしまい、戻れないという。食品(食材)のアレルギーが疑われるので、今の部署以外の部署に替われないか、職場の上司と相談することを勧めた。当地域の基幹病院の呼吸器科の先生は、過敏性肺炎や喘息・COPDに詳しから、紹介した方がいいのかもしれない。