なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

いつもの腹痛~好酸球性胃腸炎

2016年06月27日 | Weblog

 今日の外来に先週腹痛で入院していた53歳男性が受診した。糖尿病・高血圧症がある。腹痛は若干残っているというが、そう苦になるほどではないそうだ。そういえば、好酸球性胃腸炎で診るようになってけっこう経つ。

 11年前に腹痛で入院した。一部の小腸壁が全周性に肥厚して、腹水貯留もあった。原因は不明だったが、感染性腸炎として抗菌薬で経過をみて症状が軽快した。その後も症状は断続的にあった。

 その2年後にまた腹痛で入院した。その頃、医療センター消化器科から診療応援に来ていた。相談したところ好酸球性胃腸炎が疑われる、と言われた。以前に同様の症例があったらしい。血清IgEが増加していて、アレルゲン検査でも多くの食物に陽性反応が出た。プレドニン30mg/日から開始して、症状が軽快した。精査のため、医療センターに入院してもらった。小腸内視鏡検査などが行われて、好酸球性胃腸炎と診断された。

 抗アレルギー薬3種類を組み合わせて処方された。症状が軽快して、幸いにプレドニンを漸減して中止できた。IgEは最大値の1/10に低下していた。そこの研修医の先生が地方会で症例報告として発表した(名前を入れますかと訊かれたが丁重に辞退)。その後1年半くらい通院したが、遠方で通院が大変ということで、当院へ戻ってきた。

 その後も時々腹痛を訴えることがあった。腹部CTで確認しても(他の疾患との鑑別で検査)、小腸壁の肥厚や腹水はなかった。もともとCRPは軽度にしか上昇しないが、症状がある時は確かに若干上がるので、たぶんこの病気のためなのだろうと推定された。あまりいい処方がなくて、アタラックスP(安定剤+アレルギーに効果?として)を使用したり、アセトアミノフェンを使ったりした。今回はアセトアミノフェンで腹痛は軽減した。プレドニンはまったく使用していない。好酸球性胃腸炎(腸炎)はこの方だけなので貴重な症例ではある。

 

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