先々週に開業医の先生からの紹介で、86歳男性が内科新患を受診した。主訴は浮腫。この方は昨年の12月に上腕骨骨折で整形外科に入院した。手術前に出血性胃潰瘍で一時消化器科に転科して、また整形外科に戻った。さあ手術となったが、喘鳴が続いた。
肺炎として治療したが、喘鳴が咽喉頭部にあることから耳鼻咽喉科(常勤医はいないので応援医師)で診察してもらった。診断は両側反回神経麻痺。耳鼻咽喉科医が複数いる県内有数の病院へ転院となった。原因は不明で、気管切開術が施行された。そこは長く入院できないので別の病院へ移って、家族も扱いに慣れたところで退院となり、自宅へ戻った。かかりつけの開業医は外科医なの、そこで管理することになった。
内科新患は大学病院からも応援医師で、心不全でしょうかと相談された。酸素飽和度の低下はないが、両側胸水を認めた。循環器科で心エコーを行うと、EFは保たれていた。心臓自体の動きも良かった。心電図は洞調律で肢誘導は低電位差。Ⅰ・aVL・V5-6でT波が平定化があるが、それほど大きな問題ではなさそうだ。有意な弁膜症もない。この方は以前から軽度の腎障害があり(血清クレアチニン1.4くらい)、軽度の正球性貧血もある。
開業医の先生が浮腫に対してラシックスを投与して、浮腫には効いたが、血清K2台の低カリウム血症となって、K製剤とアルダクトンA25mgに変更していた浮腫の治療をしたが、こじれてしまったので、病院でお願いということだった。最近下痢もしているということだった。津甲状腺機能をみると、若干低下している(浮腫はpitting edema)。
ご本人は案外元気だったので、こまめに外来で処方と調整することにした。アルダクトンAを追加して、K製剤はそのまま継続した。ちょっとだけチラーヂンSを処方した。処方されていた整腸薬に消化薬も追加した。
1週間後は浮腫が少し軽減していた。下痢も軽快していた。血清Kが正常化したので、ダイアート30mgを追加した。そしてさらに1週間後の今日は随分と浮腫がとれていた。初診時のBNP200が70になっている。K製剤を漸減として、2週間後に予約した。浮腫の原因は複数の原んがちょっとずつ重なったことによる合わせ技の症状なのだろうか。CKD+貧血+甲状腺機能低下+下痢による低K・低蛋白(軽度)=浮腫?