なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

犬の世話を頼んできました~急性膵炎

2016年06月02日 | Weblog

 昨日、心窩部痛で65歳男性が内科新患を受診した。担当の先生(大学病院からの応援医師)が診察して、入院をお願いします言われた。4日前から心窩部痛が続いていたが、我慢できたそうだ。前日夜から腹痛の程度が強くなって、我慢できすに受診した。腹部単純CTで膵臓の腫脹は若干あるが、緊満しているわけではない。むしろ膵周囲脂肪織の炎症像が目立った。血清アミラーゼ1800と上昇していた。

 アルコールは機会飲酒で、特に最近の大酒はない。そもそも肝機能はまったく正常域だった。胆嚢摘出術の既往があって、本人は10年前と言っていたが、13年前のCTの画像が残っていてすでに胆嚢摘出後だった。今回胆道系は拡張していない。総胆管に明らかな結石はない。あるとすれば、微小な総胆管結石が乳頭部に嵌頓して、何とか腸管内に排出されたが、それが原因でちょっと遅れて膵炎をきたしたというものだ。確証はないが。

 入院して1週間くらい経過を見ましょうかと言うと、犬を預けないと入院できないという。一人暮らしで、姉と弟がいるがあまり交流はなく、頼めないらしい。幸いにというか、外来担当の先生がNSAIDを内服させて、腹痛は軽減していた。外来でFOY(のジェネリック)入りの点滴を2本して、帰宅とした。明日午前中早めに診てもらうことにして、夜間に腹痛でNSAIDを内服しても治まらない時は、当直帯で受診するように伝えた(当直は内科の医師)。

 今日再受診したが、腹痛は昨日よりも軽減して、NSAID内服はしていない。しかし上腹部は抵抗があって、圧痛もはっきりある。患者さんによると、犬は知人に世話を頼んで、入院の準備をして来ましたという。点滴+FOY+抗菌薬で経過をみることにした。今日の検査でも、総胆管結石の嵌頓は否定的な結果だった。結石の嵌頓・排出後であれば、軽快していくはずだが、どうなるか。  

コメント (1)
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