昨日はエクメット(エクア+メトホルミン)の講演会に行った。実質的に河盛隆造先生の糖尿病講演会。カナダ留学での実験の話から、順天堂大学糖尿病代謝科での最新研究の結果まで駆使した、さずが大物という大所高所からの講演だった。
血糖上昇には(通常の認識よりも)グルカゴンが大きくかかわっていること、血糖上昇における肝臓の糖産生(新生)が重要であること、がその骨子だった。糖尿病の高血糖時はグルカゴン分泌が亢進しているが、低血糖になると逆にグルカゴンによる血糖上昇は起きにくい。糖尿病ではグルカゴンの暴走をあさえることが大事という話だった。DPP4阻害薬は、インスリン分泌促進よりも、グルカゴン分泌抑制が効果を発揮するそうだ。膵α細胞のグルカゴン分泌を抑えるのは膵β細胞からのインスリン。インスリン注射は皮下注なので、グルカゴン分泌抑制はできない。SGLT2阻害薬は、グルカゴン分泌を亢進するので、いったん血糖が低下しても、その後に血糖が上昇してくるという話もあった
会場から、1型糖尿病でもDPP4阻害薬を投与すればグルカゴン分泌を抑制して血糖を低下させるので有用ではないか、という質問が出ていた。確かにそうだが、まだ実証はされていないと答えていた(確かにそうだ)。
糖質制限には反対というより、はっきり批判されていた。ただ、代謝には絶対にブドウ糖が必要というが、それが糖質制限がダメという根拠にはなっていないかもしれない。今月末には、糖質制限の山田悟先生の講演会がある。週刊誌(確か週刊ポスト)に河盛先生は講演会で年間数千万円の収入があると出ていた。あのいい声で滑舌良く話される講演は確かに魅力的だ。