なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「ぜんぶわかる 認知症の事典」

2016年07月05日 | Weblog

 101歳女性が亡くなった。2か月前に誤嚥性肺炎で入院して、抗菌薬投与(ABPC/SBT)で治癒した。嚥下訓練を行ったが、食事摂取は難しかった。嚥下障害はあるが、全体に衰弱していた。家族に、高カロリー輸液や経管栄養の適応はないと説明して、同意された。最小限の点滴をしながら(500mg/日を最初は点滴静注で、その後は皮下注)、アイスクリームを数口食べていた。2週間くらい前からはまったく食べなくなっていた。家族の了解を得て、病名は老衰とした。

 肝細胞癌の95歳女性が食欲低下・倦怠感で再入院になった。ステロイド投与で短期間元気だったが、効かなくなったようだ。肝腫大が目立つ。今回は退院できそうもない。緩やかに悪化していくと見込まれるが、肝破裂で急死する可能性があることも、改めて家族に伝えた。

 日曜日の日直の時に、転倒して救急搬入された施設入所中の62歳男性(筋強直性ジストロフィー)は肺炎・左上腕骨(近位端)骨折で内科に入院していた。昨日整形外科医に相談したが、手術は行わず、整復して外固定となった。昨日は食べないと言い続けていたが(希望で個室に入院したが、隣室から大きな独り言がうるさいと苦情あり)、今日はソフト食を食べていた。

 同じ日に回転性めまいで救急搬入された53歳男性は、断続的に回転性めまいが出現していた。めまいと同時に耳鳴と難聴が起きるかというとそうでもない。めまいがない時の聴力検査は異常なし。昨日今日は軽快していた。確定はできないが、メニエールかなあという診断(あいまいだ。正確には内耳性めまいとしかいえないかも)で退院して耳鼻咽喉科外来通院となった。

 精神障害者施設に兄弟3人で入所している62歳男性が今日3度目の受診をした。経口抗菌薬で治療していたが、今日は胸部X線の陰影と血液検査((炎症反応)がいずれもはっきり改善していた。このまま外来治療でいけそうだ。

 糖尿病・糖尿病腎症・ネフローゼ症候群で通院している47歳男性は、先週の検査で血糖コントロールが悪化していた。HbA1cが9.9%。入院治療(インスリン注射導入)を勧めたが、したくないという。飲酒・喫煙はやめていない。3年間前から当院に通院し始めたが、以前は地元の病院に通院していた。そこの院長先生である糖尿病専門医が診ていた。いろいろ言われるのがイヤで中断していた。当院受診時のHbA1cは10.2%。その時も入院治療は拒否した。経口血糖降下薬で何とか6%台後半から7%前半で推移していた。初診時から神経障害があり、血糖はゆっくり改善させたが、しだいに悪化していた(posttreatmentも否定できないが)、眼科で硝子体手術も受けている(他の病院)。前の病院でインスリン注射と血糖測定もしていたので、外来でやるという。まず超速効型インスリン毎食直前で開始した。今日血糖自己測定の結果を見せてもらうと、案外低下してきている。来週また受診してもらうことにした。

 オールカラーで見やすいので、「ぜんぶわかる 認知症の事典」成美堂出版を購入した。あの河野和彦先生監修で、一般的な検査・治療とともにコウノメソッドも併記している。「医療、介護関係者必読の1冊」とあるが、専門外の医師にもこれで十分かもしれない。とにかくわかりやすい。

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