なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺炎・肺膿瘍

2016年07月01日 | Weblog

 今週60歳男性が下痢・発熱で内科医院から紹介されてきた。グループホームの職員が付いてきていた。2週間前に下痢・発熱でその内科医院を受診していた。たぶん感染性腸炎として、整腸薬と抗菌薬(レボフロキサシン)が処方されていったん軽快したそうだ。また同じ症状が出現して、診断治療に苦慮しておりますとあった。

 この方はもともと精神遅滞(この言い方はまずいのかも)があり、兄弟2人も同様で、同じ施設に入所している。両親はすでに亡くなっていて、親戚の方が責任者になっていたそうだが、今は音信不通になっている。精神科病院から抗精神薬が処方されていた。点滴を受けてくれるかどうかと訊くと、外来で1本くらいなら自分が付き添っているが、頻回の点滴は厳しいでしょうという。入院中の付き添いは当然できない。

 腹痛について訊くと、痛いとは言わないそうだ。食事はいつもより少な目だが摂取できていた。ちょっと咳込むこともある。下痢について訊くと回数は2回くらいで、水様便多量ではない。そもそも普段から下痢気味らしい。紹介状の下痢があやしくなった。むしろ発熱の患者さんとみた方がいいようだ。

 胸部X線で左肺に陰影を認めた。胸腹部CTを撮影すると、左肺下肺野背側に浸潤影とその内部に膿瘍を疑う陰影を認めた。最初の症状から肺炎によるものと判断される。感染性腸炎として投与された抗菌薬が一時的に効いたのだろう。痰はからんでいない。無理に吸引するのも難しそうだ。

 これは結核ではないだろうな、ユナシンかゾシンで治療すべきかな、入院治療になじんでくれるかな、など考えてみた。結局抗菌薬経口(嫌気性菌カバーのキノロン)で少し経過をみることにした。まずいことになりそうな気もしながら。経口薬ならオグサワ(オーグメンチン+サワシリン)の方がいいのだろうが、服薬回数が多い。その施設は精神障害者が共同生活をしていて、職員はずっといるわけではないそうだ。

 2日後に受診すると、解熱して元気だった。そのまま経口抗菌薬を継続とした。

 

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