昨日救急当番の外科医から連絡が来た。78歳女性が、この日高熱(40℃)で地域の基幹病院に救急搬入されていた。原因はわからないが、入院が必要なのでという紹介で党員に転送されていた。炎症反応上昇と筋原性酵素の上昇がある。胸腹部CTの画像がCDに入れて送られてきたが、これといった所見はなかった。
当院に転送されてきて再検されたが、CKが3000以上(ASTとLDHも上昇)だった。何だかわからないので、内科的に診てほしいということだった。血液培養2セットと尿培養がすでに提出されていた。肺炎・尿路感染症は否定的だった。この方は詳細はわからなかったが下腿の皮疹で皮膚科クリニックに通院している。ステロイドの処方はなかった。かゆみがあるので、普段から掻いているそうだ。
右下腿の広範囲の腫脹が目立った(膝下数cmから足関節まで)。身体の他の部位と比べても、そこの熱感が強い。色調はピンクでも赤でもく、汚い赤黒色だった。皮膚自体が硬くなっているのは、慢性的に皮疹があるためだろう。把握痛があるはずだが、高熱でぼんやりしているためか、それほどの痛みはないようだ。表面に水疱形成はなく、赤紫色でもないが、蜂窩織炎よりは深部の炎症である壊死性筋膜炎を疑った。
外科医としては慢性の皮膚病と捉えたようだ。ここが感染巣としても蜂窩織炎程度ではと言われたが、CK上昇は気にしていた。MRIでみることにしたが、検査中に動いてしまうので、十分な検査にはならなかった。放射科の読影は皮下から筋膜までの炎症で、筋肉には及んでいないというものだった。
外科で入院して、抗菌薬で経過をみることになった。搬送してきた病院の方が、皮膚科・形成外科の常勤医も複数いるのでよいが、今さら引き取らないだろう。入院後も発熱が続いて、CK・CRPがさらに上昇している。皮疹の急激な進行はないので、もう少し見ないとわからないが、かなり気持ちが悪い。