懐かしい「頭痛・めまい・しびれの臨床」植村研一著医学書院刊を見ていた。植村教授はめまいをクリアカットに説明している。まず、めまいを1)眼前暗黒感・失神感black-out spell、2)動揺感・浮動感・ふらつきdizziness、3)回転性めまいvertigoに分ける。これは大抵のめまいの分類と同じだ。
回転性めまいは、自分の身体が空間に対して、もしくは空間が自分に対して回転している感覚で、急激に発症した眼振の自覚症状と定義する。回転性めまいは、1)頭痛を伴うめまい、2)聴覚症状(耳鳴 and/or 難聴)を伴うめまい、3)Solo vertigo(回転性めまいのみ)に分類する。頭痛を伴うめまいには、小脳出血が入る。Solo vertigoにはBPPVや前庭神経炎が入る。
聴覚症状を伴うめまいは、1)突発性難聴、2)メニエール病、3)神経血管圧迫症候群(血管による脳神経の圧迫)に分類する。突発性難聴は、聴覚症状(難聴)がずっと続き、めまいは数週間続く。メニエール病は、回転性めまいと聴覚症状が突然一緒にきて、また一緒に止まる。発作の持続時間は1~2時間。この時間経過で突発性難聴とメニエール病はできる。そうでないものは、神経血管圧迫症候群なので、脳外科へ紹介しなさい、というものだった。
これだけで本当にいいのかとも思うが、わかりやすくて好きだった。植村先生はすでに亡くなられたはずだ。