今日3月11日は、東日本大震災から6年目になる。当院は内陸部にあり、免震構造だったので、地震の被害は沿岸部の病院に申し訳ないくらいにほとんどなかった。停電になって、電力は自家発電に切り替わった。できるだけ電力を節約するため、夜間は薄暗い中で診療を続けていた。数日経過して午後2時ごろに、自家発電もできなくなった。もう診療は継続できないと暗澹たる思いになったが、約3時間経過してあたりが薄暗くなりかけた時に、一気に明かりがともった。東北電力の懸命の作業が間に合ったのだった。
今日は臨床微生物学会の「感染症学セミナー」で東京に日帰りで出かけてきた。新幹線の中で、山本舜悟先生の「かぜ診療マニュアル 第2版」を読んでいた。DVDやインターネットセミナーで見た印象だけだが、人柄が伝わってくるようないい本だなあと思う。
のど型(急性咽頭・扁桃炎)でCentor基準やMcIsaac基準があるが、細菌性扁桃炎の原因はA群溶連菌だけではなくC群溶連菌・G型溶連菌もあるので、A群溶連菌迅速試験陰性でも当てにならない。さらにはFusobacterium necrophorumもあるので、咽頭培養陰性でも当てにならないそうだ。
急性扁桃炎の患者さんは咽頭痛で食事摂取が低下しているので、大抵点滴(抗菌薬点滴静注のルート確保)と血液検査を出している。溶連菌迅速試験・咽頭培養(保険で切られてもかまわないので)、白血球数(分画も)とCRP、肝機能・腎機能も見ている。常勤医はいないが、耳鼻咽喉科外来(大学病院からの出張)の診察も依頼する。やりすぎかもしれないが、扁桃炎の患者さんは相当つらい状況だから、そのくらい行ってもいいと思う。深頸部膿瘍の有無も、診てもらわないと怖い。点滴も患者さんと相談して複数本入れている。