先週、肝硬変で内科外来に通院していた70歳代半ばの女性が、予約外で受診した。これまで診たことがない患者さんで、外来担当の先生(大学病院からの出張)から相談された。
1か月前から亡くなった夫が生きているような話をして、また目の前に誰かいるような会話をずっとしているという。徘徊して、近所の人に連れてきてもらったりしているという。息子さんと二人暮らしで、1週間前からは症状がひどくなって、ずっと息子さんが仕事を休んで付き添っていた。
精神科病院を受診したところ、肝硬変で通院しているので、肝性脳症ではないかどうか、内科からの紹介状がほしいと言われたそうだ。1週間後に予約が入っていて、肝性脳症でなければ入院させてもらえることになっていた。
4年前に、眼科での検査で血小板減少を指摘されて、内科紹介となった時が初診だった。内科の若い先生(その後退職)が担当して肝硬変と診断された。肝炎はなく、抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体陰性で、40歳代からかなりの飲酒が続いていて、アルコール性と判断された。症状があってというよりは、検査で血清アンモニアが高値(100μmol/L)でアミノ酸製剤も処方されていた。
ずっと付き添っていた息子さんは精神的にも肉体的にも疲労困憊していた。難聴があって(ほぼ筆談で問うと答える))、ちゃんと認知症テストをしたわけでないが、それなりに答えてくれる。パーキンソン症状はななく、身体の動きは案外すばやい。頭部今回の血清アンモニアは20で上昇はしていなかった。頭部MRIでは年齢相当だった。
入院して経過をみたが、食事はムラはあるが食べられた。もともとの腎障害が脱水症(腎前性)で悪化していたが、それも戻ってきた。夜間に限らず、不穏でセレネースなどの使用と夜間だけの抑制でなんとかみていた。
肝性脳症ではないとも言えないが、違うようだ。認知症の症状かというとそれも当てはまるのかよくわからない。コンピュータの病名欄に老年精神病というのがあって、そう表現するしかない気もする。その中身がわからないが。
今日精神科病院を受診して、そのまま入院(転院)になった。処方の調整をしますという返事だったので、また戻ってくるほずだ。当院で経過をみて施設待ちになるのだろう。