金曜日は内科当番だった。帰ろうとしたら、救急室に搬入された患者さんがいて、当直の外科医が対応していた。83歳女性で、内科医院から右鼠径部痛で紹介されていた。
救急室に顔を出すと、「内科ではないよ」と言われた。腹部CTで見ると、右閉鎖孔ヘルニアだった。CTだと閉鎖孔ヘルニアの診断は容易だ。てっきり緊急手術になるのだろうと思った。昨日土曜日に日直で出てきた時に確認すると、閉鎖孔ヘルニアを整復したと記載されていた。外科病棟に入院して、週明けの待機手術が予定されていた。
閉鎖孔ヘルニアは用手的整復できるとは知らなかった。両側股関節を開排位(下肢を外側に広げる)にすると、閉鎖孔と皮膚の間に大きな筋肉がなくなる。薄筋(この体位で一番突っ張る筋肉)を恥骨方向にたどっていくと、恥骨結合の外側で閉鎖孔の正面に到達できる。閉鎖孔ヘルニアは薄筋と長内転筋(薄筋の後ろにある)の下をくぐって出ていくるので、皮下にヘルニア嚢を触知できる。エコーガイドにここを圧迫して整復するそうだ。へえ~、すごい。