なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

病棟で暴れていた

2017年03月24日 | Weblog

 昨日の午後に病棟(本来は他科の病棟)から連絡が来た。肺炎で入院している80歳代後半の男性が暴れているという。病棟に見に行くと、大部屋(4人部屋)から個室に移動になっていて、看護師さん5人で抑え込みにかかっていた。

 3日前の日曜に自力で歩けなくなったという訴えで、遠方に住む家族(娘夫婦)が連れてきた。ふだんは山間の町に妻と二人暮らしだった。家族から「認知症があります」と報告があった。発熱には気づかなかったらしいが、37℃後半の発熱があった。4年前に当院の呼吸器科外来(大学病院から出張)を受診して、左上葉肺癌で地域の基幹病院呼吸器科に紹介されていた。治療の対象にはならないので、定期的な経過観察になったそうだ。

 家族に支えられてちょっとだけ歩くくらいで、よろよろしていた。血液検査で白血球数2万・CRP15と炎症反応上昇がある。胸部X線・CTで、肺癌は初診時より増大していた。もともと喫煙者で肺癌を指摘されてから禁煙したそうだ。右上葉に肺炎像を認めた。入院治療としたが、不穏になるかもという話はしていた。

 入院後、病棟の看護師さんの話では、会話は成り立たないが、点滴を抜くこともなく、問題なく過ごしてますということだった。解熱して食欲も良好で、自力歩行できた。難聴があるので、大声で自分の思っていることだけをしゃべっていた。

 前日の水曜日に自宅に帰りたいと言っていたが、来週退院にしますと伝えていた。看護師さんに早期に退院にした方がいいか確認したが、会話はなりたたないものの、穏やかに過ごしてますと言われた。夜間は睡眠薬を使用して案外良く寝ていた。

 次の日から、どうしてこんなところにいるんだと、暴れだした。体幹抑制をすり抜けて動くので、看護師さんたちの抑え込みになったのだった。数名が殴られた。家族(娘)がすでに呼ばれていて、幸い肺炎は治りつつあるので、自宅退院とした。娘さんは、自分の家に連れて行くというが、住み慣れた患者さんの自宅にしないと落ち着かないと伝えた。

 抗菌薬は内服にして外来予約を入れた。娘さんの夫が車で迎えに来るのに時間がかかるので、アタラックスPを静注してみたが、案外落ち着いた。予防的に精神薬を出した方がよかったのかもしれない。

 

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