昨日内科新患を診ていた先生から、腰痛と発熱で受診した61歳男性のことで相談を受けた。なんでも、10日前から腰痛が続き、37℃台の発熱も続いているそうだ、
最初外科の先生のクリニックを受診した。インフルエンザ迅速試験を受けて(陰性)、クラリスの処方を受けている。そのクリニックを再受診して、インフルエンザ迅速試験も再検した(陰性)。その後整形外科クリニックを受診して、ブロック注射とNSAID(ロキソニン)の処方を受けた。さっぱり良くならないので、当院を受診したが、患者さんは整形外科外来を受診するつもりだった。外来で症状を話すと、発熱があるなら内科で診てもらうように言われて内科受診となった。
白血球数は正常域でCRPは18。胸部X線・尿所見は異常なしで、CK・肝機能も異常なし。胸腹部CT(単純)で異常を指摘できないが、原因は何でしょうかということだった。
最初リウマチ性多発筋痛症(PMR)かなと思った。患者さんは歩行はできて、自分で車を運転して受診していた。上肢・肩の症状はなかった。大腿部から膝のあたりにも違和感があるというが、大腿の把握痛も膝関節炎はなかった。起き上がったり・寝返りを打つのがひどいという。腰部の患者さんが痛いという部位に圧痛・叩打痛はない(たぶん)。
PMRにしても何だか合わないような気もしたが、以前上肢の症状が目立たないPMRの方もいた。プレドニン15mg/日で経過をみるかなとも思ったが、感染症を否定しないと危ない。腰部の感染(化膿性脊椎炎・椎間板炎・脊椎硬膜外膿瘍・腸腰筋膿瘍)も考えられるので、血液培養を2セット提出して、腰椎MRIをみることにした。
その日午後のMRIが混んでいて午後4時過ぎにならないとできなかった。患者さんにその旨を話すと、何とかしてほしいので待つという。中央処置室のベットを用意して、そこで待機とした。午後最初の会議の終わりに、MRI担当の技師さんから連絡が来た。「筋肉に炎症像があります」ということだった。放射線科の先生に診てもらうと、、背筋の炎症があり(一部膿瘍?)、脊椎にかかっているかもという(今日は椎間関節部などに脂肪抑制T2高信号T1低信号とレポートが出た)。
整形外科の若い先生をつかまえて見てもらった。「まずは保存的に抗菌薬で経過をみるんでしょうけど」という。当院の整形外科では脊椎疾患は扱っていない。脊椎の手術で有名な整形外科医が7~8人いる総合病院に紹介することにした。
心雑音は聴取せず、感染性血栓は指摘できない。正しくは心エコーまで当院でやるべきだったか(紹介先にも循環器科は当然ある)。どういう機序でこうなったのかわからない。