なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

市中のCDI

2017年04月14日 | Weblog

 4月から消化器科に若い先生が来た。残念ながら常勤ではなくて、2か月交代の診療応援だった。さっそく3名の患者さんの担当していたので、どんな病気なのかと画面で確認した。前立腺肥大症で泌尿器科クリニックに通院していた70歳代半ばの男性が、下痢(水様便)が続いて、そのクリニックから当院に紹介されていた。

 この方は当院の腎臓内科外来に通院していた。50歳代からの糖尿病があり、内科クリニックに通院(その前は別のクリニック)していて、腎機能障害(ネフローゼ症候群)で4年前に当院の腎臓内科外来に紹介された。糖尿病腎症はあるが、経過からそれだけにしては早いかもしれないということで、他疾患併発の疑いとして腎センターのある専門病院に紹介された。腎生検の結果、糖尿病腎症+Focal segmental glomerular sclerosisと診断された。一時的にステロイドも使用されたが、その後は中止されている。

 血糖コンロトールは以前からよくない状態だった。現在はHbA1c8%台。治療は混合型インスリンを朝夕自己注射+DPP4阻害薬になっている(強化療法かな)。最近の血清クレアチニンは4mg/dl弱で推移している。今回は下痢による脱水症が加わって、血清クレアチニン6.7mg/dlに上昇していた。

 泌尿器科で抗菌薬(フルオロキノロン)が処方されていた。現在の処方としての記載があり、これまでも断続的に使用していたかもしれない。便のCD検査で、抗原陽性・トキシン陰性となり、培養を追加して再検するとトキシンも陽性と出た。CD腸炎(CDI)だった。

 点滴(低カリウム血症の補正あり)とメトロニダゾールで症状は軽快して、数日前から食事摂取が開始されている。血清クレアチニンもふだんの値に近づきつつあった。

 若い先生はカルテ記載が丁寧で、これまでの記載をうまくコピーして経過がわかるようにしていた。入院当初から少しずつサマリーを積み上げていくようになっている。

 当院では市中感染としてのCDIは少ないが、クリニックの外来でセフェム系・フルオロキノロンが頻繁に使用されているので、今後も増えていくのだろうか。

コメント
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