なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

DOACsと出血(貧血)

2017年04月04日 | Weblog

 昨日の当直帯が始まったころに、循環器科クリニックから80歳代前半の女性が、貧血と浮腫で紹介された。先々月にはHb12g/dlだったが、先月はHb7g/dlになって、昨日はHb5g/dlまで低下していた。若干の大球性貧血だった。この方は心房細動があり、DOACが処方されていた(PPIも処方あり)。当直医は外科だったが、とりあえず輸血4単位と利尿薬の静注をしていた(DOACは休止)。

 この方は10年前から鉄剤が処方されていたが、処方の経緯については記載がなかった。過去のが記録に消化管出血の既往はないようで、貧血があって鉄剤投与で改善したので、そのまま継続していたということらしい。先月のHb7g/dlで紹介してほしいところではある。

 今朝はHb7g/dlだった。直腸指診では黒色の便が付着したが、タール便というよりは鉄剤の色と思われた。消化器科で上部消化管内視鏡瞼亜を行ったが、十二指腸潰瘍の瘢痕と十二指腸球部に若干のびらんがあるが、大量出血をきたす病変ではなかった。

 経過からいうと、先々月から先月にかけての貧血の進行が目立ち、そのころにけっこう出血したと推定される。今日の内視鏡検査はそれほどの所見がなくても不思議ではないのかもしれない。腹部CTで見る限り、大腸に腫瘤はなく憩室もない。

 心エコーではEF70%で有意な弁膜症はない。心機能低下というより、貧血による浮腫の進行と判断される。消化器科でみてもらうことになったが、いずれ大腸内視鏡もするらしい。とりあえずもう少し輸血の追加がオーダーされた。

 

 

 内科外来に糖尿病・心房細動で通院している80歳代半ばの男性が、発熱と血痰で受診した。先週の金曜日からくしゃみ・咳・咽頭痛があって、おとといの日曜日に当院の救急外来を受診していた。発熱はなかった。日直は消化器科の先生だったが、咳と喘鳴と判断したらしく、吸入ステロイドを処方していた。

 今日は38℃の発熱があり、昨日から血痰がでるという。胸部X線とCTで確認すると両側肺に浸潤影があった。炎症反応も上昇している。抗酸菌塗抹は陰性だった。肺炎として入院治療とした(肺胞出血ではないと思うが)。

 この方もHb7g/dl台の貧血があった。小球性貧血だった。経過をみると前回検査から少し貧血があったが経過をみていた。胸腹部CTで消化管に明らかな腫瘤は指摘できない。腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)が軽度に上昇していた。肺炎が軽快しないと消化管の精査はしにくい。鉄剤静注で再検して、貧血が進行する時は輸血も考慮の方針とした。心房細動にDOACを出していたが、休止とした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする