誤嚥性肺炎で入院した80歳代半ばの男性は、入院した時から吸気時に喘鳴Stridorがあった。仰臥位になると舌根沈下するのかとも思ったが、どうも違うようだ。認知症があり、歩行はできないが、上肢は動くので油断すると処置する看護師さんがぎゃっと手をつかまれたりする。爪をたててくるのでかなり痛い。昔のプロレス技のようだ。福祉サービスを受けて在宅介護だったが、要介護5で月のほとんどショートステイで過ごしていた。家族から手の動きに気を付けて下さいと言われていた。唸るだけで会話はできない。
しだいに音が大きくなって、原因を検索しなければならないが、耳鼻咽喉科の診察ができるかどうか危ぶまれた。病棟の看護師さんとSTさん(言語聴覚療法士)から、何とか抑えますからぜひと言われた。耳鼻咽喉科の先生には、無理はしないでけっこうですとお話した。
多数による抑え込みで何とか喉頭ファイバーの検査ができた、喉頭に腫瘍があり、喉頭の右半分が狭窄している。生検はされなかった。治療は無理でしょうということになった。確かにこの状態で手術も放射線も抗癌剤もないだろう。
さらに進行したら、気管切開しかないが、それもやるかというと難しい。正しくは、気管切開をして、胃瘻造設による経管栄養とか、高カロリー輸液を行うのだろうか。末梢の点滴だけで経過をみて、ぜりーなどを少しだけ摂取してもらう方が自然なのかもしれない。家族と相談してみる。