なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

食物が詰まっていた

2017年04月19日 | Weblog

 昨日施設入所中の80歳代後半の女性が、食物で窒息死しかけて救急搬入された。食物がのどに詰まって、一時的に心肺停止になって、施設職員が心肺蘇生をしたところ、呼吸が戻ったということだった。酸素10L/分で搬入されたが、救急当番の外科医が血液ガスを検査すると、二酸化炭素分圧が79でpH7.16だった。酸素飽和度が改善したので、その後酸素4L/分まで下げていた。一通り検査を出して、画像検査が終わって血液結果が出る前に連絡が来た。これから手術に入るので、あとはよろしくということだった。

 寝たきり全介助なので、食事も介助で食べていたはずだが、CTを見ると食物が食道上部まで詰まっていた。食道蠕動運動の問題か食道裂溝ヘルニアの問題か、とにかく食物の食道通過に問題があるらしい。一口分が咽頭に詰まったというより、食物が食道全体から咽頭まで詰まったということらしい。

 酸素量を調整(酸素飽和度90%を目標)して血液ガスを再検すると、二酸化炭素分圧64でpH7.28と改善してきた。正しくは気管挿管・人工呼吸なのだろうが、処置をすると裏目に出そうだった。認知症・寝たきり状態で脊椎は前に曲がってさらに右に曲がっていた。家族にお話して、酸素量の調整と点滴・抗菌薬で経過をみることにした。

 今日はバイタルとしては安定している。昨夜は騒いでいたそうで、日中はずっと寝ていた。もともと両肺に陳旧性の陰影があり、肺胞低換気なのだろう。誤嚥性肺炎がどの程度になるかで予後が決まりそうだ。

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