昨日の学会3日目は疲れがたまっていたようで、講演の内容は飛び飛びしか理解してなくて、メモも少ししかとれなかった。有名な先生や医学書の著者である先生方を、直に見たり講演を聴くと、本が読みやすくなるという利点があるので、ぼんやりと過ごしてもそれなりの甲斐はある。
感染症セミナーで忽那先生が解説していて、とぼけた感じのわかりやすい話だった。最後に、旅行会社の「ラクダに乗ろうツアー」は困るので投書しようと思うと、らしいことを言われた。侵襲性A群溶連菌感染症が3例続いたそうだ。「ねころんで読めるシリーズ」の矢野邦夫先生は座長をしていた。「トラベルクリニック」の著者濱田篤郎先生はゆったりとした話しぶりで、いい感じの先生だった。医学書コーナーで、隣にいた若い先生の参加証の名前を見ると、亀田総合病院の中島啓先生(胸部X線・CTの読み方やさしくやさしく教えますの著者)だった。抗菌薬適正使用セミナーのケーススタディを担当されていた矢野晴美先生は、以前のようにスマートになられていた。
今日は日直で病院に出ている。朝病院に来ると、昨夜の宿直だった外科医(大学病院から出張=バイト)から、午前7時前に来院した50歳代前半の男性のことで相談したいと連絡が来た。
高血圧症の既往があるが、2年くらい治療して中断していた。10本/日の喫煙歴がある。1週間前から早朝に呼吸苦(正しくは呼吸困難)が生じて、起坐呼吸になっていた。昨日からその症状がひどくなって、昨日(土曜日)は内科クリニックを受診した。聴診で喘鳴が聴取されたことから、喘息として吸入ステロイドが処方されていた。
受診時は、血圧140/100・脈拍100/分・酸素飽和度90%(室内気)・体温36.6℃(呼吸数の記載が抜けた)。聴診で中下肺野に湿性ラ音(coarse crackles)があり、wheezeも軽度にあった。両側下腿に浮腫を認めた。
心電図でST上昇などの心筋梗塞や急性心膜炎を示唆する所見はなかった。洞調律で上室性期外収縮はあるが、心房細動ではない。2週間前に上気道症状(鼻汁・咳・咽頭痛)があったが、発熱はなく症状は数日で消失していた。胸部X線・CTで心拡大・肺うっ血があるが、心嚢液貯留はない。気腫性変化はない。白血球数は正常域・CRP陰性で、心筋酵素は正常域。BNPは900と高値。
心不全だが、原因は何だろうか。高血圧だけでもなるのか。COPDからの肺性心の患者さんが最近2人いたが、このくらいの年でなるのだろうか。ウイルス感染からの急性心膜炎とも言い難い。不整脈はなく、弁膜症もなさそうだ。
年齢的にもちゃんとした循環器科で診てもらう必要があるので、地域の基幹病院に連絡して救急搬送になった。