なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

混合型肝癌

2017年04月29日 | Weblog

 木曜日に大学病院循環器内科から70歳代後半の女性が転院してきた。混合型肝癌の診断で、緩和ケア(BSC)で経過観察となっていた。

 大学病院循環器科で心臓ペースメーカー植え込み術を受けて、そのまま大学病院の外来に通院していた。発作性心房細動があり、ワーファリンを内服していたが、今月の外来受診でPT時間が過剰に伸びていて、肝機能障害もあった。

 入院して消化器内科で検査したところ、肝臓全体に腫瘍を認めた。、上下部内視鏡検査で胃大腸に癌はなかった。生検はしていないが腫瘍マーカー高値(CA19-9・CEA・PIVKA-Ⅱ)から混合型肝癌(肝細胞癌+胆管細胞癌)と診断された。

 患者さんと家族に病状説明があり、癌に対する積極的な治療はせずに(事実上無理だろう)、緩和ケア(BSC)の方針となった。食事もとれて、トイレ歩行もできる。そのまま自宅退院でもよかったのだろうが、ワーファリンのコントロールが難しく、DOACも使いにくいということで、ヘパリン持続点滴になっていた。

 抗凝固薬をどうするかは、当院で決めてもらうようにと言われての転院だった。大学病院から丸投げされても困るが、ふだんは洞調律で、発作性心房細動になってもすぐに治まっていたそうだ。

 ワーファリンを極々わずかに形だけ入れるのも考えたが、意味がないと思って、ヘパリン点滴を中止して抗凝固薬はなしとした。翌日に腹部CT(単純だけにした)で見ると、肝臓全体に腫瘍が広がっている。腹水も中等度にあった。肝表面まで腫瘍があるので、破裂による急死も危惧される。緩やかな肝不全進行の経過だといいか。

 患者さん本人は自宅に帰りたいという希望があり、数日当院で経過をみて来週初めの退院を勧めた。

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