なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

化学療法学会

2017年04月05日 | Weblog

化学療法学会の初日。災害時における感染対策と感染症診療を途中から聞いた。熊本地震で、県の保健所、というより保健師さん方は仕事に追われて大変な思いをされていた。長崎大学のICTチームが熊本に入って、現場の声を聞いて現実的にできる指示を出されたそうだ。ノロウイルスのアウトブレイクも収束させた。

岩田健太郎先生も講演された。1)現場を疲弊させるムダな感染対策をはぶく、2)不適切な抗菌薬使用はしない、3)感染暴露後のワクチン接種を行う、の3点を述べられた。内容は100%同意だが、岩田先生が言うと回りがはらはらする感じになる。

抗菌薬適正使用生涯教育セミナーの大曲先生と青木先生の講演もよかった。

学会の間中、「感染症の診断って、こんなちょっとしたことで差がついちゃうんですね。」南江堂を読むことにした。MICの値がR(耐性)、それってどういう意味?、の設問がある。例えば、MRSAの多くはメチシリン以外のβラクタム系薬のMIC値も高いが、一部に低い株がある。実際は使用しても治療効果がみられない。メチシリン耐性株と判定された場合は、βラクタム系に対する感受性をRと報告している。自然耐性を示す細菌で、MICが低くSと判定されても結果を出さないようになっている。要するに、効かない薬を間違って使用しないように配慮されている。 

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高齢者(認知症)の糖尿病

2017年04月05日 | Weblog

 内科に糖尿病で通院していた80歳代前半の女性は、DPP4阻害薬+SU薬少量+ピオグリタゾンで治療していた。HbA1cが7%前半から8%の間だったので、そのまま継続していた。

 末梢神経障害などで神経内科外来にも通院していた。2~3年前から認知症があるとは思っていたが、内科は糖尿病だけ診ているので、そこには触れなかった。神経内科でも、どうもその点には踏み込んでいないようだった。

 前回の受診痔にHbA1cが11%に跳ね上がった。自覚症状としては特に困っていない。認知症で内服していないのではないかと思われたので、教育入院を勧めたが、イヤだという。ふだんは長期処方だったが、短い間隔(月1回測定のHbA1cの関係で1か月後)で経過をみて、再度教育入院をすすめようと思った。腫瘍マーカーとCT検査をしたが、膵癌はなかった。血中Cペプチドは正常域だった。内服していないための血糖コントロール悪化と判断される。

 そのうち、家庭で病院から入院を勧められたという話をしたら、(本人の話では)甥御さんから入院しないとだめだと言われたそうで、急遽教育入院することになった。患者さんは夫と二人暮らしで、離れた県庁所在地に娘さんがいる(他の子供さんは県外)。

 病院への通院は夫が車で送り迎えしていたのだった。だったが、運転しているところを見たわけではないが、この夫も認知力に問題があった。病院駐車場のどこに車をとめたかわからなくなり、何度か病棟と駐車場を往復していた。

 入院すると、家に帰ります、実家に帰りますと言って、着替えはじめる。病棟からパジャマのまま出かけていくので、看護師さん看護助手さんに、さあ帰りましょうと連れ戻された。1か月血糖良好な状態をつくって退院にしようと思ったが、短期間で帰すしかないようだ。

 糖尿病の治療は、まず外来処方をそのまま継続して、そこに持効型インスリンを加えた(BOT)。次第に血糖は改善してきた。患者さんも夫もインスリン注射は無理なので、退院後は中止する。内服薬は比較的わかるらしい夫に管理を依頼して、1回分ずつ直接渡して内服させてもらうことにした(以前から朝だけに単純化)。それもきちんとできるか怪しいが、患者さんに任せるよりはましだろう。

 定期的な教育入院の繰り返しになる見込みだ。

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