化学療法学会の初日。災害時における感染対策と感染症診療を途中から聞いた。熊本地震で、県の保健所、というより保健師さん方は仕事に追われて大変な思いをされていた。長崎大学のICTチームが熊本に入って、現場の声を聞いて現実的にできる指示を出されたそうだ。ノロウイルスのアウトブレイクも収束させた。
岩田健太郎先生も講演された。1)現場を疲弊させるムダな感染対策をはぶく、2)不適切な抗菌薬使用はしない、3)感染暴露後のワクチン接種を行う、の3点を述べられた。内容は100%同意だが、岩田先生が言うと回りがはらはらする感じになる。
抗菌薬適正使用生涯教育セミナーの大曲先生と青木先生の講演もよかった。
学会の間中、「感染症の診断って、こんなちょっとしたことで差がついちゃうんですね。」南江堂を読むことにした。MICの値がR(耐性)、それってどういう意味?、の設問がある。例えば、MRSAの多くはメチシリン以外のβラクタム系薬のMIC値も高いが、一部に低い株がある。実際は使用しても治療効果がみられない。メチシリン耐性株と判定された場合は、βラクタム系に対する感受性をRと報告している。自然耐性を示す細菌で、MICが低くSと判定されても結果を出さないようになっている。要するに、効かない薬を間違って使用しないように配慮されている。