肺炎で入院した80歳前半の男性は、入院時のCT検査で十二指腸水平脚の腫瘍と鉄欠乏性貧血の進行を認めた。肺炎治癒後に消化器科で上部消化管内視鏡検査が行われた。結果は、「トリプルでした」。胃の3か所に癌を認めた。
まずもっとも目につくのは胃角前壁を中心とする1型進行癌で、胃角小彎にⅡb様に広がっていた。そして噴門直下の小彎~後壁に4型進行癌(浅い潰瘍と硬化して粘膜)があった。さらに胃体下部大弯にⅡc病変まで診断された。検査したのは消化器センターのある病院から手伝いにきている若い先生だが、見事なものだ(食道末端も生検して癌の波及がないことも証明)。
十二指腸の病変は、内視鏡が下行脚までの挿入になったので、見えていない。小児用大腸内視鏡を使用することも考慮していたが、3か所の胃癌の問題もあり、踏み込まなかった。
診断は多発性胃癌(進行癌2か所+早期癌1か所)、十二指腸水平脚粘膜下腫瘍(疑い)、総胆管結石・胆嚢結石となる。(大腸内視鏡検査では経過観察でよい小ポリープのみ)紹介になる予定だが、どう治療するのだろうか。