なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

絞扼性腸閉塞

2018年03月02日 | Weblog

 昨日整形外科の病棟で、肝機能障害で内科にコンサルトされた88歳女性の指示を出していた。外注検査に出していたANA・AMAが陰性で、原因は不明だった。治療として、強ミノC(のジェネリック)の静注とウルソ内服を開始したが、その後肝機能障害はほぼ正常化していた。その日無事に大腿骨頸部骨折の手術が行われていた。

 強ミノCの静注をグリチロン内服に切り替えて、ウルソと併用で経過をみることにした。そのうちウルソだけにして継続する予定だ。肝臓の薬(肝機能自体を改善する薬)はあまり進歩してないものだと思う。ウルソはまさに「魔法の薬」だ。

 血小板減少も改善して、15万になっている。画像で肝表面が軽度に凹凸があることと脾腫から、何らかの原因による肝硬変と判断していた。ただ、こんなに改善すると、いったいこの肝機能障害は何だったのかと迷ってしまう。専門医受診の適応もなさそうで、退院後は地元の病院でウルソだけ継続してもらえばいいかと思う。

 隣で消化器科医が画像を見ていた。整形外科に大腿骨頸部骨折で入院して2週間前に手術を受けた89歳女性だった・早朝から腹痛を訴えていて、診察を頼まれたそうだ。腹部CTでは小腸が拡張して消化液貯留が目立った。腹水もある。これは腸閉塞だ。既往に胆嚢切除術がある。腸管の虚血がないかどうか、造影CTを追加するという。

 造影CTでは小腸の一部で造影されない部位があり、絞扼されて血流が低下している。すぐに外科コンサルトされて緊急手術になった。小腸のその部位は壊死に陥っていて切除されたそうだ。

 

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