なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

車で徘徊?

2018年03月06日 | Weblog

 昨日の午後に、路上で倒れていたという83歳男性が救急搬入された。通行人が発見して救急要請した。救急隊到着時は意識清明で、会話可能だったが、話の内容がよくわからなかった。とくに麻痺はない。当院搬入時も同様だった。

 午前9時半ごろに自宅を車で出たそうだ(住所は当市から3つ隣の町)。当初は、病院に行こうとしたと言っていたが、受診なのかお見舞いなのか要領を得ない。何度か聞くと、病院に行こうとしたのではなかった。

 木材加工の仕事をしているが、当市内の電力会社に料金に関する手続きをしに行ったらしい(実際はそういう手続きは不要)。その後は展示をやっているかと思って以前行ったことのある展示会場に行ったらしい(たぶん毎年5月の連休中に開催される展示)。(それぞれの場所にちゃんとたどり着けたかどうかは不明)

 その辺から車を止めたところがわかなくなり、あてどなく数Km歩いていた。少し後ろに反った歩き方で、ふだんはあまり長くは歩いていない。疲れ切って倒れたということらしい。

 血液検査では異常がなく、頭部CT・MRIを検査したが、脳萎縮はあるが(年齢相当かそれより目立つかというところ)、新規の脳血管障害はなかった。

 名前・住所・電話番号は言えて、現在の年月日も言えた。少なくとも重度の認知症ではない、そのうち娘さんが職場から来てくれた。家族構成は夫婦と娘の3人だった。最近物忘れが目立つようになっていたそうだ。

 住んでいるところは狭い地域なので、散歩に出てもたぶん戻って来れなくはない。そもそも歩いての散歩はあまりしていないようだ。車で出かけた用事そのものが、思い込みによるもので、的外れなものだった。どうも、「車を使用した徘徊」ということになりそうだ。それにしても車を運転して、よく交通事故を起こさなかったと感心する。少し前に、高齢者の免許証返納の記事が新聞に載っていた。

 どこに車を止めたかわからないので、探しようがない。誰か不審な車が長く停まっていることに気づいて警察に通報するのを待つしかないか。今回の事情を診療情報提供書(高血圧症で通院している診療所宛て)に記載して、頭部MRIの画像を入れたCDといっしょに娘さんに持たせた。診療所近くの基幹病院に認知症・高次脳機能障害が専門医がいるので、精査はそこに紹介されるかと思う。

 

 

コメント
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