1月に内科クリニックに通院している91歳男性が高血糖で入院した。高血糖高浸透圧症候群に準じて治療した。インスリン強化療法にしたが、元検査技師のお嫁さんがきちんとインスリン注射と血糖測定をしてくれるので助かった。
入院時に胸部X線で右上葉腫瘍を認めて、軟部組織~肩甲骨にの腫瘤も認めたが、年齢的に精査・治療はできないので経過観察にした。まあ超高齢なので進行はゆっくりだろうと判断した。入院中に発熱・右季肋部痛・肝障害が発症して、胆嚢結石を認めた。急性胆嚢炎として治療して軽快したので、これも経過観察とした。
今月になって発熱・右季肋部痛で再入院した。肝機能障害は軽度だったが、炎症反応高値だった。胆石性急性胆嚢炎として治療を開始して、ある程度は軽快したが、前回のように完治はしなかった。外科医と相談すると、手術は無理だが、希望すれば経皮的胆嚢ドレナージ(PTGBD)はやってもいいけど、という返事だった。
抗菌薬投与で粘ってみることになったが、そのうちに右肩が膨隆してきた。胸部CTで確認すると、1月に指摘された肺の腫瘤が明らかに増大していて、近傍の筋肉内~肩甲骨(溶骨性)にある腫瘤も増大していた。腫瘍の進行が予想よりも速いのだった。胸水は癌性胸膜炎としていいのか。胆嚢炎もくすぶってスッキリしないが、こちらは確実に進行している。
肺の方は無理としても肩の腫瘤は生検できそうだが、家族は希望しなかった。治療はないので、診断の興味だけにはなる。肺と肩の腫瘤はつながっているような、つながっていないようなというところだ。これは肺癌が転移あるいは浸潤したものと判断していいのだろうか。
病状悪化時はDNRの方針で、できるだけ苦痛のないように対応することになった。