なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

転院また転院~間質性肺炎の増悪

2018年03月05日 | Weblog

 先週の半ばに地域の基幹病院呼吸器内科の先生から間質性肺炎の67歳女性の転院依頼があり、今日が転院日だった。

 5年前から特発性間質性肺炎で通院していた。治療はプレドニン10mg/日。今回は1月末にインフルエンザB型に罹患したのをきっかけに急性増悪した。気管挿管・人工呼吸器装着となり、ステロイドパルス療法が行われた。何とか抜菅できて、ステロイドを漸減して現在はプレドニン15mg/日だった(ちょっと早くないかな)。すっかり廃用症候群となり、リハビリ目的の転院だった。酸素吸入は中止されていた。

 午前10時に介護タクシーで当院着の予定だった。内科外来を診ていたので、外来が終わって昼前に、今後の見通しなどを家族にお話しようと思っていた。ところが、担当の病棟看護師さんから連絡がきた。身長体重を測定しようと車いすから立ち上がった時に、突然呼吸困難になって、酸素飽和度が60%台に低下したという。

 急いでベット上安静(半坐位)にして酸素吸入を開始してもらった。酸素3L/分で酸素飽和度92%(その後96%)になった。心電図・胸部X線・胸部CTのオーダーを入れた。外来の検査結果が出て待っている患者さんを手早く診て、病棟に上がった。

 酸素吸入して患者さんは落ち着いていた。ポータブル心電図は洞性頻脈のみで、虚血性変化などはない。診療情報提供書の記載は、先週FAXで送られてきた内容と同じだった。ただ先週金曜日の検査結果では、それまで下がっていた炎症反応が上昇して、LDHも上昇していた。深部静脈血栓症からの肺血栓塞栓症というよりは、原疾患の悪化が疑われた。画像検査待ちとして、いったん外来に戻った。

 胸部X線・CTの結果は、間質性陰影が先方の病院の最新の画像と比較して、明らか増悪していた。もやっとした柔らかい印象のスリガラス様陰影が肺野全体に広がっている。

 呼吸器内科の先生にすぐに電話で連絡した。ベットを確認して折り返し電話しますと言われた。すぐには返事が来なかったので、病棟師長さんと、「ベット事情が厳しい病院なので、今日すぐは無理かも」という話をしていた。酸素3L/分くらいなので、今日の転院が無理なら、当院でステロイドパルス療法をして1~2日待つくらいはできると見込んだ。幸いすぐに転送して下さいと連絡が来て、救急搬送できた。患者さんの当院滞在時間は約3時間。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする