今月初めに、99歳女性が誤嚥性肺炎で入院した。最近は経口摂取が難しくなってきていた。抗菌薬投与で肺炎自体は軽快したが、ST介入で嚥下訓練を行ったが、経口摂取は無理だった。まず覚醒状態を維持できない。といって、他の疾患のためでもない。
入院した時から家族に、肺炎は良くなっても食べられない可能性が高い。とお話していたが、見込み通りで(誰でもそう判断するだろうが)、これは老衰のようだ。
ここからの対応をどうするかで意見は分かれる。胃瘻造設はしないと思うが、古典的なNGチューブ挿入による経管栄養はありうるだろう。高カロリー輸液にして、あとは療養型病床にお願いするというのもありうる。私の選択は末梢からの最低限の点滴で経過をみて、静かにお看取りするというものだ。家族に対応について説明して、選んでもらうことになる。家族が迷って特に意見がない時はこちらから提案する。
今回は末梢の最小限の点滴でいくことになっていた。地域包括ケア病棟に転棟して、約1か月(2か月近くになることもある)くらいのつもりだったが、今回は家族の希望があった。息子さんが地元の町立病院の院長先生の外来に通院しているらしく、直接お願いして転院してもいいといわれたという。何しろ自宅はその病院の目の前にあるそうだ。診療情報提供書を地域医療連憩室からFAXしてもらうと、すぐに転院可能の連絡が来た。明日の月曜に転院する。
昔は100歳まで生きる人は少なかったので、市や町からお祝い金が出ていた。99歳10か月の女性が胆嚢癌で入院していたが、家族から何とか100歳まで持たせてほしいと希望された。高カロリー輸液を継続して、めでたく100歳を迎えた。町立病院だったので、町役場の職員が病室まで来て、お祝い金の贈呈式が行われた。お祝い金100万円。
今回の99歳は99歳6か月で半年後までは何をしても難しい。もう100歳まで生きる人が増えて、100万円はもらえない。