なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

一過性の意識低下

2023年05月30日 | Weblog

  89歳女性が胸椎・腰椎圧迫骨折で5月19日から整形外科に入院していた。5月27日土曜日の午前10時ごろに病棟看護師さんが、意識低下に気づいた。

 土曜日の日直だった内科の先生が呼ばれた。胸骨疼痛刺激で眼瞼がわずかに動かす程度だった。バイタルサインは特に異常がない。四肢は両側で脱力していて、麻痺があるのかわからない。

 心房細動でDOAC(エドキサバン=リクシアナ30mg)を内服している。糖尿病はない。血圧上昇・徐脈傾向の中枢神経疾患を示唆する所見もない。

 心原性脳塞栓症を疑って、頭部MRIを行ったが、小脳脳幹部も含めて新規の脳梗塞はなかった(出血もない)。家族に連絡して、点滴とヘパリン持続点滴(10000単位/日)で経過をみることになった。

 その後、呼びかけにうなづくような動きをするようになった。翌日の日曜日には呼びかけに返答するようになった。週明けの月曜日にはほとんど前と同じに回復していた。

 月曜日の血液検査で特に異常は認めていない。原因不明の一過性意識障害ということになる。高齢者はわからない。

 内科の先生が、悪化して心肺停止に陥った時の処置を家族に相談していた。この患者さんは夫は死去していて子供はいない。家族といっても親族になるが、一人では決められません、という返事だった。

 結局できるだけの処置をして下さい、ということになっていた。不幸にしてそうなった場合は、15分くらいの心肺蘇生が行われて、反応なしでした、ということになるのだろう(多数の肋骨が胸骨から外れてしまう)。まずは回復してなによりだった。

 

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