5月4日は日直で病院に出ていた。外科当番医になっていたので、半分近くは軽度の外傷などの外科疾患だが、始まりから終わりはでずっと受診が続いた。(5月3日から7日まで当院が外科当番医だったが、3日は消化器科医、4日と5日が内科医、6日と7日が大学病院からバイトの外科医だった)
午後になってやっと入院患者のチェックに病棟に行ったが、5月1日に入院して別の先生が診ていた75歳男性が、早朝に急変して死亡していた。
4月30日の夜間に地域の基幹病院の救急外来を受診していた。もともと慢性閉塞性肺疾患(COPD)があり、肺炎併発による増悪を呈していた。
呼吸器内科医と相談して、抗菌薬(セフトリアキソン)とステロイド(デキサメサゾン)を投与して帰宅とされていた。診療情報提供書には「外来治療可能と考えられました」と記載されていた。
先方の検査では、酸素飽和度が88~90%(室内気)で、血液ガスはPaO2が55.9mmHg、PaCO2が68.4mmHgと逆転している。胸部CTでは右下肺野に浸潤影があり、確かに肺炎の画像陰影としては軽度だが、何しろCOPDでそれも高二酸化炭素血症がある。
5月1日に当院の外来を受診して、普通に入院となった。入院後は横ばいの経過だったが、4日目の4日午前7時に急に血圧が低下して、酸素飽和度が低下した。
3日の当直は腎臓内科の若い先生だった。DNARの患者さんではないので、気管挿管をして人工呼吸を行って、昇圧薬を投与した。(担当医は自宅のある東京に戻っていた)
家族と相談して、「治療を継続するが、心停止になった際には心臓マッサージはしない」ということになった。午前10時前には心停止となっていた。
気管挿管の時に喀痰がかなり引けたそうで、それも(が?)影響したのかもしれない。心電図では有意な虚血性心疾患の所見はなかった。
最後まで3日当直の腎臓内科医が対応してくれた。午前中は救急外来受診が続いて、代わりに診るのは難しかったが、本来は交代して当方が診なければならなかった。