なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺炎+子宮留膿腫

2023年05月04日 | Weblog

 2日に施設に入所中の95歳女性が胸痛を訴えたということで救急搬入された。胸骨部に圧痛があるという救急隊からの連絡だったが、どこを触っても痛いという。

 酸素飽和度が91~92%(室内気)と低下していた。搬入時は体温36.6℃でふだんよりは微熱なのかもしれない。

 4月中旬から通院している内科クリニックで尿路感染症として治療をしていたそうだ。内服の抗菌薬が2種類処方されていた(ファロム→レボフロキサシン)。

 心電図は異常がなかった。胸部X線で両側肺野に浸潤影を認めた。胸部CTで確認すると両側肺野全体、特に背側に浸潤影があり、胸水(肺炎随伴性だろう)も伴っていた。胸膜痛なのかもしれない。

 尿路感染症として治療していたが、胸部X線は診ていなかったらしい。そこから肺炎が始まっていたのだろう。抗菌薬2種が処方された後なので、治りにくい可能性がある。 

 胸腹部CTとして撮影したので腹部~骨盤まで描出されている。子宮内に液体貯留があり腫脹していた(10×7cm)。

 看護師さんが尿検査をしようとして、導尿のカテーテルが膣に入ってしまったそうだ。悪臭のある膿汁が引けて来て、それを尿カップに入れて見せてくれた。ということは、子宮内に膿汁が充満していて、子宮留膿腫になっている。

 

 当院婦人科は昨年閉科となっている。子宮留膿腫で経膣エコーで診てドレナージしてくれた産婦人科医はもういない。

 地域の基幹病院の婦人科医に連絡した。肺炎があると婦人科では診られないので、呼吸器内科が肺炎を診てくれるなら診ますという。もし呼吸器内科で(ベット事情で)診られない時は外来で処置をしてもいいとも言ってくれた。

 もちろん呼吸器内科と婦人科両者で診てもらうに越したことはない。呼吸器内科医に連絡すると、空きベットを確認して判事します、と言われた。

 その後、地域医療連携室に連絡が入り、入院受け入れOKとなって、ありがたく搬送した。

(後日記)

 呼吸器内科から返事がきていた。婦人科で子宮留膿腫のドレナージをして膿汁が排出したそうだ。その後誤嚥性肺炎の治療を行ったが、悪化して亡くなっていた。

 

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