なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

レムデシビルがない

2023年05月20日 | Weblog

 5月17日水曜日に発熱外来から連絡がきた。市内の内科医院でCOVID-19と診断された53歳女性から、受診希望の連絡が入ったという。

 5月15日から発熱・咳・咽頭痛があり、その日内科医院を受診して、コロナと診断された(抗原定性検査だろう)。アセトアミノフェンと鎮咳剤が処方された。

 16日から食欲がなく、嘔気もある。外来受診すると入院になる可能性もあるので、どうしましょうかということだった。

 入院で診るのは当方としては問題はない。病棟で何というかだった。病棟師長さんに連絡してもらった。

 外来(内科再来)を診ていると、病棟師長さんがやってきた。今の状況では受け入れが難しく、外来治療になりませんか、という。

 看護師不足の問題もあり、入院が少ない病棟をコロナ病棟としていたが、そこは3月で閉じた。急性期病棟は1病棟しかないが、そこでコロナの患者さんの入院を診ることにはなっていた。

 ただ現在の入院状況だと、すでに入院しているかなりの患者さんたちを移動させなければならないが、移動するベットがない。こういうことなるのは想像されたことだが、ずっとコロナの入院がなかったので、何とかなっていただけだった。

 患者さんには入院は難しいので、外来で点滴にかよってもえるなら治療します、と伝えてもらった。これが高齢者だと通院は無理だろう。

 検査(画像と血液)の結果は軽症相当だったが、39℃近い発熱はあって、嘔気がある。レムデシビルの点滴静注と500mlの点滴2本を外来のコロナ用の部屋を使用して行った。

 翌19日は発熱は37℃台になって、水分は少し取れるようになっていた。

 

 薬の問屋さんとの問題があり、現在当院にはCOVID-19で点滴静注する抗ウイルス薬のレムデシビル(ベクルリー)が入荷できないことになっている。事務には、レムデシビルがなければコロナの入院は診られない、と伝えてから1か月経過するが、未だに解決できない。上記患者さんで使用したレムデシビルが在庫の最後だった。

 感染管理の指導で大学病院から来てもらっている先生にそのことを伝えると、そんなことがあるんですね、と驚いていた。県の医療局に直接事情を伝えてもいいのではないかと思う。

 

 入院になるコロナの患者さんは大抵(超)高齢者で、誤嚥性肺炎を併発していることが多い。コロナの経口薬(パキロビッド)は相互作用の問題もあるが、量も多く薬剤も大きいので飲めない。

 オミクロン株ではコロナ自体の肺炎はなく、誤嚥性肺炎で悪化するので、抗菌薬だけ入れればいいという考えもあるだろう。しかしコロナの急性期入院でレムデシビルを使用しないという選択はない。

 抗癌剤はありませんが癌治療を当院でしますか、というのと同じことになる。

 

コメント
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