5月2日火曜日に、自宅で動けなくなっていた62歳男性が救急搬入された。救急隊から酸素飽和度が85%(室内気)で酸素吸入5L/分を開始したと報告があった。
患者さんは一人暮らしで、近くの姉が連絡をとっていた。2週間ほど連絡が来なくなり、前々日に連絡しても返事(電話とメール)がないので姉は自宅を訪問した。
しゃべり方も何を言っているかわからない様子だった。食事もとっていないらしかった。その日は様子をみたが、翌日に訪問した時も同じだったので、そこで救急要請した。
高血圧症で内科クリニックに通院していたが、1年以上は通院していない。血圧が110台で、普段より低下しているのかもしれない。
開眼はしているが、また閉眼してしまう。名前は小声で言っていたが、聞き取りにくい。あるとしたら構語障害?。四肢に左右差はないように見える。
もともと慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)があり、2010年に右肺、2015年に左肺の気胸を来して、当院外科(当時)に入院していた。いずれも胸腔ドレナージで軽快治癒していた。今回は左肺の呼吸音が弱い。
点滴を血液検査を提出して、画像を撮った。気胸はなかった。左肺に肺炎?と思われる陰影があり、右肺にも少しあるようだ。
放射線技師さんから左肺の肋骨(の一部が)がなくなっていると言われた。確かになくなっている、というか溶けている?。
胸部CTで確認すると左肺に腫瘍があり、肋骨は溶骨しているようで、胸腔外へも浸潤している。肺炎も伴っているようだ。肺癌だろう。
血液検査では炎症反応の上昇、電解質異常(高ナトリウム、低カリウム、高カルシウム)があり、尿酸値も著しく上昇していた。糖尿病もある(以前からあった)。
頭部CTでは転移巣はなく、年齢の割に脳委縮があるが、脳血管障害はなかった。点滴、肺炎の治療、電解質異常の補正を行うが、病状は厳しいです、と姉に伝えた。