なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性細菌性前立腺炎

2023年05月24日 | Weblog

 土曜日の当直の時に入院した患者さん。日曜日の午前4時過ぎに、急な嘔気を訴える70歳男性が受診したい、という連絡が入った。来てもらうことにしたが、また連絡があり、「動けないので救急車を呼ぶ」ということだった。

 救急隊から連絡があり、発熱37.4℃と嘔気がありますと報告された。同居の孫も発熱があったが、1日で解熱しているという。

 コロナだと入院は難しい状況だった。(その日は救急病棟は入院受け入れが難しく、入院は地域包括ケア病棟になる)検査して結果をみるしかない。

 コロナとインフルエンザの抗原検査は陰性だった。(時間外は検査技師のオンオールができないので、迅速PCR検査はできない)

 搬入時、体温は38.1℃だった。腹痛・下痢はなく、腹部は心窩部に圧痛がごく軽度にあるくらいだった(押されると違和感程度)。

 3年前に急性心筋梗塞の既往がある。当院の救急外来を受診して、当時在籍していた内科の若い先生が専門病院に搬送していた。PCIを受けて、現在は通院している泌尿器科・内科クリニックから抗血小板薬が処方されている。

 心電図は昨年受診した時と変わりがなく、虚血性心疾患の症状ではなさそうだ。白血球が9000・CRP2と軽度に炎症反応が上昇しているが、発症すぐなので再検すればもっと上昇すると予想された。

 胸腹部CTで確認すると、早朝だが胃内に胃液が目立つ。腸管は便秘の所見くらいだった。肺炎、腎盂腎炎、胆嚢炎の所見はない。

 前立腺肥大症で処方を受けているが、前立腺肥大は確かにあり、やや辺縁が不整だった。感染巣不明の高齢男性では前立腺炎の可能性がある。

 入院してもらって、点滴と抗菌薬投与(セフトリアキソン)で経過をみることにした。入院後は解熱して食事摂取も良好となった。

 月曜日の検査で血清PSAが4.931ng/mLと軽度に上昇していた。白血球8700・CRP16.7とCRPが遅れて(3日後がピーク)中等度に上昇していた。たぶん前立腺炎でいいのだろう。

 前立腺炎だと抗菌薬投与が3週間になるが、点滴静注を1週間行って、その後は内服で継続する予定とした。通院しているのが泌尿器科なので、少し間をあけて血清PSAを再検してもらう。

 

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