4月15日、4月24日に記載した70歳男性の(さらに)その後。
誤嚥性肺炎は抗菌薬継続(ABPC/SBT)で軽快治癒した。
認知症・BPSDに対する抗精神薬は、ロナセンテープ(20㎎)2枚が貼付されていた。日中1枚夜間2枚、1日中1枚と漸減して中止した。夜間の睡眠を確保するために、デジレル25mg2錠(1錠から増量)・ロゼレム8mg1錠、さらにクエチアピン25㎎1錠を夕食後に内服とした。
体幹抑制は夜間は継続にするが、日中はリハビリの妨げになるので、監視できれば外すことも考慮していた。
転院してすぐに、洞調律から持続性心房細動になった(先方では発作性心房細動だった)。ヘパリン持続点滴からDOAC内服(エドキサバン30mg)に変更した。ビソノテープ4mg貼付だったが、やや徐脈傾向となり、2mgに減量した。
高血圧症も200mgを越えたりして、一時的にニカルジピン点滴静注を使用した。Ca拮抗薬、さらにARBを追加して140前後に低下した。
頭蓋内病変は転院時の頭部CTで両側の硬膜下血腫から水腫へ移行していたが、まだ量が多く、脳を軽度に圧排していた。五苓散の内服は開始していなかったが、頭部CT再検で水腫は軽快していた。
という経過で、後は福祉サービスを入れる準備をして、到底一人暮らし継続はできないので、施設入所を目指すことになった。いい感じで経過していたのだが・・・。
5月11日の午前中に病棟看護師さんから血便が出ていると報告された。オムツいっぱいに赤黒色の便というよりコアグラ(凝血塊)があった。
直腸指診をすると、一瞬腫瘤かと思われたが、実際は凝血塊でそれが出ると鮮血がどっと出た。いったん排出は止まるが、その後も2回コアグラと鮮血の排出が続いた。
腹部CTを見ると、虚血性腸炎らしいS状結腸の壁肥厚は認めない。その口側の大腸は通常の便貯留だけのようだ。虚血性腸炎だと便と血液の混じった血便という感じになるが、今回は排出される便は普通便だった。出血そのものだと、(胃で言えば)出血性胃潰瘍のような病態かもしれない。
昼前に消化器科医と相談したが、下部消化管内視鏡検査が3件入っていた。何より、止血処置をする器具は更新時期を過ぎても予算がなかったので、もうなくなっている(一応クリップだけはある)。
見るのはいいが止血処置が必要になる病変を発見しても、その処置と悪化の際の対応ができないという。地域の基幹病院にお願いすることにした。
電話で事情をお話すると、診るだけはできます、ということだった。処置後に戻してもらってもいい、という条件で救急搬送となった。
その日の夕方、時間外になっても連絡がなかったので、病棟の看護師さんと入院になったのだろうと話した。できれば週明けまで診てもらって戻してもらうと助かる。
月曜に連絡があり、「直腸潰瘍があり、露出血管の処置を行って止血した」ということだった。すぐに引き取りたかったが、火曜日に他院からの転院が2例あり、水曜日の転院としてもらった。