なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

糖尿病腎症・ネフローゼ

2023年05月19日 | Weblog

 連休明けの5月8日に、整形外科クリニックから当院の皮膚科に蜂窩織炎の62歳男性が紹介されて、入院になった。

 部位は右膝周囲で、皮膚科医としては蜂窩織炎としてはあまりない場所ですが、という。ただ、膝に外傷の跡があること(菌の侵入門戸)と、整形外科からの紹介なので関節炎ではないのだろうともいっていた。

 右膝関節の腫脹もありそうで、当院の整形外科でも診ていただくように勧めた。関節穿刺が行われて、非化膿性の炎症はあると診断された。蜂窩織炎の炎症は関節内に及んでいないと判断されていた。

 

 高血圧症・糖尿病で市内の内科医院に通院していて、HbA1cは8%台ということだった。入院なのでふだんの処方薬を薬局で確認したが、使い方が?なので、と報告がきたそうだ。

 日数は入院中に間に合うくらい持ってきていて、そのまま使用するつもりだったようだ。変更が必要かもしれないので、内科で処方していほしい、という依頼だった。

 

 SU薬のグリメピリドが3mg錠3錠分3になっていた。最大量は1日6mgだが、使うとしても最近ではせいぜい0.5~1日1mgだろう。(選択として4番目以下の糖尿病薬になっている)

 DPP4阻害薬とメトホルミンの合剤(エクメットHD錠=エクア50mg+メトホルミン500mgを2錠分2,SGLT2阻害薬(ダバグリフロジン10mg)、GLP1受容体作動薬の内服薬(セマグルチド3mg)、α-GI(ボグリボース0.2mg錠3錠分3)が入っていた。降圧薬はバルサルタン40mg錠分1だった。

 SU薬最大量オーバーと、DPP4阻害薬・GLP1受容体作動薬併用は保険で削られると思うが、大丈夫なのだろうか。患者さんの注射薬拒否で、困っての処方か。

 身長167cm・体重76.5kg(BMI 27)で体格がよく、絞る余地はある。HbA1c8.3%で、血中Cペプチド 2.75ng/mlだった(抗GAD抗体は陰性)。

 入院直後は血糖が200~300mg/dl台だったが(高値の時ヒューマリンRで補正)、しだいに140~150前後に下がってきて、インスリン皮下注は使用しなくなった。ふだんが過食なのだろう。

 やはり「注射薬はいや」ということで、DPP4阻害薬・SGLT2阻害薬・α-GI・SU薬(1mgに減量で)は継続とした。GLP受容体作動薬の経口薬は院内にはなく、入院期間が2週間くらいなので、臨時薬として取り寄せるのはやめた。(退院後にGLP1受容体作動薬内服へ)

 血清クレアチニンが1.58mg/dと上昇している。(メトホルミンは中止した)血清アルブミンが2.1~2.7g/dl、尿蛋白8.38g/gCrとネフローゼ相当だった。浮腫は目立たない。血圧も150~170mmHg台と高値だった。

 糖尿病自体の治療というよりは、腎症・ネフローゼの対応になる。腎臓内科の若い先生に相談した。

 糖尿病の治療は、DPP4阻害薬よりGLP1受容体が好ましく、セマグリチドは3mgより7mgでという。血圧は110~120を目標にもっと下げましょうということで、処方追加・変更を指示された。(眼科は当院に通院していて、血糖を下げても問題ない状態)

 降圧薬は、これまでのバルサルタンにアムロジピン5mg1錠分1から2錠分2を追加はしていたが、大幅な修正を指示された。

 MRA(ミネラルコルチコイド受容拮抗薬)のエサキセレノン(ミネブロ)1.25mgを高カリウム血症に注意して使用する。ARB(バルサルタン)をARNI(エンレスト=サクビトレル・バルサルタン)に変更する。(100mg1錠分2ではなく、100mg2錠分2から開始と大胆)

 血圧の下がりすぎもなく、140程度になっていた。退院後は内科医院(腎臓内科)にお戻しするが、当院の腎臓内科医に相談したことを記載して、外来紹介も考慮してもらうことにした。

 

 別の患者さんで同様の処方を使用して、尿蛋白が8g/gCrから1g/gCr未満になったと(電子カルテ上で)見せてくれた。腎臓内科も「Fantastic 4」(β遮断薬は抜いて3?)なのだった。

 

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