なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

透析導入になった

2017年03月21日 | Weblog

 昨日入院した60歳代前半の男性は、意識状態は一昨日とあまり変わらなかった。ほとんど発語はない。暴れている状態はあまり変わりない(体幹抑制施行中)。解熱して、検査上は炎症反応・肝機能障害・高CKはいずれも軽減していた。ミタゾラムを点滴静注して頭部MRIを行ったが、異常なしだった。結局今の治療(点滴と抗菌薬)で経過をみるしかない。良くなるしかないはずだが。

 糖尿病・腎症・ネフローゼで通院している50歳代後半の男性は、今月初めに数日入院して内シャント術を受けていた。今日は下腿浮腫が悪化していた。HbA1cが6.3%と軽度の貧血を割り引いても血糖コントロール良好だ。内科に続いて腎臓内科の外来を受診したが、血清クレアチニン8.96mg/dlと上昇していて、来週から血液透析導入が決定した。当初は入院して開始になるが、来週で大丈夫なのか心配にはなった。ずっと外来で診ていた糖尿病の患者さんが透析になるのは、とても残念だ。もともと投げやりな印象の患者さんだが、今日は気持ちがいつもより荒れているようだった。

 今年の夏に医学部2年の学生さんが実習に来るが、まだ病気のことはわからない学年なので、何をすればいいかと思っていた。医療体制の話は、具体的に県内の脳外科医のいる病院はどこか(脳出血を扱える施設はどこか)など具体的な話をすることにした。個々の病気の話はできないので、ミニレクチャーは意識障害の診かたにしようと思う。実技は血圧測定と心音・呼吸音の聴取(ただ聴くだけ)くらいかな。

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暴れている人

2017年03月20日 | Weblog

 昨日は日直で病院に出ていた。入院へ3名。ひとりは80歳代後半の男性で、発熱・食欲不振で救急外来を受診した。地域の基幹病院で左上葉肺癌の経過をみていた。もともと肺気腫があり、気管支肺炎を併発していた。肺癌は、当院で行った4年くらい前の胸部X線と比較すると着実に増大してきているが、まだ経過をみられる状態だった。数年前に禁煙したというのは、肺癌を指摘されてやめたらしい。

 もうひとりは、70歳代後半の女性で、めまいで動けないと訴えて救急要請していた。市内の内科医院に高血圧症・脳梗塞後遺症(わずかなラクナ梗塞)で通院しているが、その前は市内の別の病院に通院していた。どうもそこの病院とは喧嘩別れのようだ。心気症でいろいろ訴えて、自分の思ったようにしてもらうとするらしい。頭部MRIで新規の病変はなく、他にも異常はない。一人暮らしなのでぜひ入院させてほしいと訴えて、集まってきた親戚一同もぜひという。しゃべる時はベットからむくっと起き上がってくるので、自称めまいのようだ。看護師さんが訊いたところでは、救急要請する前に食事をとって入浴もしてきた。1週間の約束で入院にしたが、退院するかどうかでもめそうだ。

 問題は、自宅で暴れているという60歳代前半の男性だった。もともと精神遅滞があり、両親のもとで過ごしていたが、その後は家を継いだ姉の世話になっていた。なんでも、ふだんは身の回りのことはできるという。それが前日から室内で排尿するようになった。壁に向かって排尿しようとしているので姉が止めたという。簡単な発語はある。頭痛の有無などを訊くと、ないらしい。頭部CTを検査したが、異常はなかった。血液検査では炎症反応が軽度に上昇していて、軽度の肝機能障害・CK上昇・高ナトリウム血症・低カリウム血症もあった。胸腹部CTで気管支肺炎があるように見え、肝胆道系には異常がなかった。感染症によるせん妄かとも思ったが、脳疾患そのものなのか。今日は解熱して、食事もとっているが、不穏は続いている。

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感染症学セミナー~性感染症

2017年03月19日 | Weblog

 臨床微生物学会 感染症学セミナー(3月11日)

「性感染症を整理しよう」 自治医科大学感染免疫学講座・笹原鉄平先生 

  性的な接触は性行為(性交)だけでではない(オーラル、アナルも)。パートナーも同時に治療しないと、再感染を繰り返す。性感染症の検査・治療は可能な限り1回で済ませる。複数の性感染症を同時に検査する~血清(梅毒・HBV・HCV)、尿(淋菌・クラミジア)、病理(子宮頸がん)。

 症候は、1)尿道分泌物・排尿痛(尿道炎:淋菌、クラミジア、ウレアプラズマ、マイコプラズマ、腸内細菌科)、2)陰嚢の腫脹・痛み(精巣上体炎)、3)異常帯下(膣トリコモナス症、外陰部膣カンジダ症、細菌性膣症、子宮頚管炎~淋菌・クラミジア)、4)咽頭痛・咽頭違和感(淋菌・クラミジア・梅毒・HSV・HIV)、5)性器潰瘍・口腔潰瘍(痛い潰瘍~HSV・軟性下疳、痛くない潰瘍~梅毒)、6)性器疣贅(HPV感染症~良性:尖圭コンジローマ、悪性:子宮頸がん)、7)下血・血便(腸管感染症:赤痢菌・カンピロバクター・サルモネラ菌、直腸炎:淋菌・クラミジア・性器ヘルペス、ジアルジア症、アメーバ赤痢)、8)陰毛部の痒み(ケジラミ)症。

 性感染症領域の耐性問題 岐阜大学医学部泌尿器科・安田満先生

 問題となる薬剤耐性菌は、1)淋菌(尿道炎・子宮頚管炎・咽頭炎・結膜炎・直腸炎・精巣上体炎・播種性感染症・PID)、2)Mycoplasma genitalium (尿道炎・子宮頚管炎)

 淋菌の検査は鏡検法・培養法(感受性検査)・核酸増幅法、Mycoplasma genitalium の検査は核酸増幅法のみ。

 淋菌性尿道炎の治療は、第一選択がセフトリアキソン(CTRX)ロセフィン1g 単回投与、第二選択がスぺクチノマイシン(SPCM)トロビシン2g筋注 単回投与。セフィキシム(CFIX)セフスパンはもう使えない(3割が低感受性)。

 セフトリアキソン低感受性株は、淋菌性尿道炎への使用は大丈夫だが、淋菌性咽頭炎はギリギリ使えるくらい。淋菌性咽頭炎は、培養陽性でも咽頭所見がない。セフトリアキソンは使用できるが、スペクチノマイシンは咽頭への移行が悪くて使えない。薬剤耐性淋菌は、CDCでurgent扱いでCDI・CREと同じ。

 Mycoplasma genitalium 尿道炎の治療は、第一選択がアジスロマイシン(AZM)ジスロマックSR2g 単回投与(8割くらい効く)、第二選択がシタフロキサシン(CTFX)グレースビット1回100mg1日2回7日間(耐性が出てきた)。(ナイセリア属は淋菌・髄膜炎菌以外は非病原性)。

ケースカンファランス1-播種性淋菌感染症 成田赤十字病院・矢野勇大先生

 46歳男性。主訴は前日からの右手背の疼痛・腫脹。熱感・頭痛・悪寒戦慄もあった。その後複数の関節炎をきたした。血液培養で淋菌が検出。他の性感染症は陰性。(パートナーへの告知・治療は拒否)

 播種性淋菌感染症は、粘膜病変以外から淋菌が検出されるもので、全淋菌感染症の0.5~3%。40歳以下の若年者に多い。症状は、1.初感染(性器感染症、通常無症状、1~2日)、2.菌血症相(非化膿性多関節炎・腱鞘炎・皮疹、移動性の関節痛、血液培養陽性・関節液培養陰性が多い、1~2日)、3.化膿性関節炎相(血液培養陰性・関節液培養陽性が多い)。

 培養検査は、粘膜病変(80%以上で陽性、症状・暴露がなくても検査)、皮膚病変(培養の感度は低いが、PCRはより高い)、関節液(約50%で陽性、PCRはより感度が高い、化膿性関節炎相)、血液(約50%で陽性、菌血症相)。

 治療は、セフトリアキソン1g24時間毎で、治療期間は状態を診ながら1~2週間が推奨される。併存が疑われるクラミジアにアジスロマイシン1g単回を併用。

ケースカンファランス2-先天梅毒 みやぎ県立こども病院・桜井博毅先生

 先天梅毒の診断の難しさは、1.60%の児は無症状で出生、2.培養が難しく血清診断になる(母体からの移行抗体もあり解釈が難しい)。

 RPRで母と比べて児の血清抗体価が4倍以上で診断(しかし感度4~13%、特異度99%)。病歴で疑わしい時は治療。児のFTA-ABS IgMも診断に有用(保険適応外)。

 抗体価の有意な上昇がなくとも、母のRPR/TPHAが陽性の場合、1)母が未治療、2)母の治療が出産の4週間前までに済んでいない、3)不十分な治療(非ペニシリンでの治療)、4)母体の再感染、再燃の可能性がある、5)疑わしい身体所見がある、なら評価と治療を行う。

 症候性梅毒の60%に神経梅毒が合併する。先天梅毒に合併する神経梅毒の40%は新生児期に無症状のため、髄液検査は必須。

 

 性感染症の本を一冊購入したいが、いいものがない?。 

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「J-IDEO」を購入

2017年03月18日 | Weblog

 新しく出た感染症雑誌「J-IDEO」を購入した。少年ジャンプのような雑誌?を目指しているらしい。とりあえず忽那賢志先生の「日本全国感染症ケースカンファランス 道場破り」を読むだけでもいいかと思って購入した。上村先生との掛け合い形式は面白すぎる。

 感染症カンファランス実況中継は、IDATENの電撃性髄膜炎菌菌血症(紫斑病)・髄膜炎だった。こんな症例が当院に来たらどうするかというと、高次医療機関への救急搬送だが、受けてくれる病院は大学病院救急部しかなさそうだ。

 金曜日に施設から95歳女性が約1週間食事摂取できないということで救急搬入された。尿路感染症はあるものの、肺炎・心疾患・脳血管障害・明らかな悪性腫瘍(CTでみえる範囲で)はなく、脱水症・尿路感染症の治療をしても食べるようにならなければ、老衰ということになりそうだ。当院らしい入院だが、こんな医療機関も必要なのだろう。

 IDATENは次回開催の告知が遅いので、なかなか予定が立てられないのが困る。J-IDEOはとりあえず1年間定期購読してみることにした。

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脳静脈血栓症

2017年03月17日 | Weblog

 一昨日、朝病院に来ると、前夜の当直医から連絡が来た。心肺停止の患者さんをみているので、これから救急車で来る患者さんを診てほしいという。その方は90第代の女性で、先月誤嚥性肺炎で入院した病院から嚥下訓練のため転院してきた。幸い順調に嚥下できるようになって(全粥刻み食)数日前に退院したばかりだった。

 心肺停止で救急搬入されたのは、精神遅滞・てんかんで他院に通院している20歳代前半の男性だった。救急隊到着時から心肺停止で蘇生術が開始され、病院搬入後も継続されたがまったく反応せず、死亡確認がなされていた。前に感冒症状で外来を受診したことがあった。体格がよく力が強いし、少しもじっとしていなかった。家族ふたりが付き添っていたが、診察しようとすると両手で思い切り払いのけるので、実際はできなかった。

 今回は数日前から発熱があったらしいが、受診させること自体が難しいので、自宅で様子をみていた。早朝に家族が意識がないのに気づいて救急要請した。心肺停止に陥ってから気づかれるまで、かなり時間が経っていたと推定される。

 死因精査のためAIが行われた。胸腹部CTでは両側肺背側に淡い陰影を認めるが、有意な所見ではないようだ。頭部CTではくも膜下出血・脳出血はなかった。両側の横静脈洞・直静脈洞に血栓症をきたしているようだ。あまり見ない所見なので、すぐに放射線科医に診てもらったが、脳静脈血栓症だった。アーチファクトでも、心肺停止後の二次的なものでもなく、これが急変の原因になったのだろうか。原因として心疾患が発症した可能性もあるが。

 これまで脳静脈血栓症は1例だけみたことがある。片側の横静脈洞の血栓症だったと記憶している。その後脳外科医(当時は常勤医がいた)に回したのでその後の経過は覚えていない。

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穿孔性腹膜炎~直腸癌、急性虫垂炎

2017年03月16日 | Weblog

 月曜日にクリニックからの紹介で穿孔性腹膜炎の患者さんが2名救急搬入された。外科で連続して緊急手術となった。

 1例目は50歳代半ばの男性で、直腸癌の口側で穿孔して腹膜炎をきたした。癌の口即から離れた部位で、手術に入った外科医に訊くと、憩室ではないかという。Raにほぼ全周性の直腸癌があり、多発性の肝転移をきたしていた。穿孔部を縫合するのが困難で癌そのものを切除したそうだ。腹部CTで見ると、腸管の壁がない部分が穿孔部。

 2例目は80歳代前半の女性。突出した虫垂の起始部に糞石があり、その周囲に遊離ガスと液体貯留をきたしている。急性虫垂炎の穿孔による腹膜炎だった。

 

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膵嚢胞腫瘍

2017年03月15日 | Weblog

 月曜日に外科外来から糖尿病の患者さん(60歳台半ば女性)を紹介したと連絡が来た。画面で確認すると(電子カルテは便利だ)、1カ月前からの食欲不振と5kgの体重減少がある。外科を受診したのは心窩部(左季肋部寄り)に腫瘤を触れるためだった。

 腹部造影CTが施行されていて、膵体尾部に嚢胞が大小2個あり、壁は不整に肥厚している。血液検査でCA19-9が3000と上昇していた。

 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の分枝型かというと、嚢胞内の隔壁がはっきりしない。教科書的にはIPMN分枝型は膵頭部に好発とある。また粘液性嚢胞性腫瘍(MCN)は、膵体尾部に発生・多房性とあるが、今回は多房性ではない。放射線科の読影レポートは膵悪性嚢胞腫瘍とあった。がんセンター紹介になるようだ。

 糖尿病は、HbA1cが10%で手術するとなればインスリン治療開始が適切なのだろう。他院紹介になるので、とりあえずDPP4阻害薬を処方した。当院で血糖コンロールをつけてからということになれば、インスリン強化療法にする。

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久しぶりに胃瘻造設

2017年03月14日 | Weblog

 先月脳梗塞で入院した84台男性は、嚥下障害で経口摂取は困難だった。今日内視鏡的胃瘻造設術を行った。胃下垂気味で造設は楽にできた。胃十二指腸潰瘍瘢痕があり、胃びらんが目立ったので、薬剤(PPI)内服注入までガスター注(のジェニリック)を数日入れることにした。 

 この方は奥さんと二人暮らしだった。発症してから歩行できなくなり、食事もとれなかったが、奥さんはどうしていいかわからず様子をみていたらしい。発症4日目に娘が訪問して救急要請した。頭部MRIは搬入時の検査で、動いてしまい。技師さんからはこれで精一杯と言われた。MRAでは右ICA閉塞しているようだ。現役の喫煙者で胸部X線・CTでわかりやすい肺気腫像があり、右肺に肺炎をきたしていた。翌日に梗塞巣を確定する目的で頭部CTを再検したが、梗塞巣はMRAでぼやっと見える範囲に留まっていた。すでに4日経過していたが、急性期の治療を行った。

 住んでいるのは温泉付き別荘地で、自宅は別の市内にある。そちらに娘二人がいるので、自宅から近い施設を探すことになるが、喀痰吸引の回数が多く、療養病床への転院になりそうな見込みだ。楽しみ程度に経口摂取できれば理想的だが、喀痰が多いと難しい。

 この前最初のレスパイト入院を担当した。今日は、今月末と来月初めにレスパイト入院する方の入院予約の入力をした。大っぴらにレスパイト入院とはできないので、一般入院のふり(ちょっとだけ検査を入れておく)をしての入院になる。

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肺炎その後

2017年03月13日 | Weblog

 多発性肺病変(4か所)で入院した43歳女性は、入院後の抗菌薬(ABPC/SBT)で解熱軽快していた。担当の先生に訊いたところでは、発症する前にう歯で痛みがあったそうだ。多発性肺膿瘍とも言えるが、敗血症性肺血栓症なのだろうか。血液培養2セットは陰性だったが、1回抗菌薬が入った後だった。心エコー(経胸壁)で疣贅は指摘されない。まだ抗菌薬投与中だが、そろそろ退院したがっているという。点滴静注で2週間治療して、それからは外来で経過をみることになりそうだ。抗菌薬を経口に切り替えて続けた方がいいのだろうか。経口薬なら何がいいかと訊かれたので、オグサワ(オーグメンチン+サワシリン、当院はパセトシンだが)を勧めた。

 昨年から肺炎を繰り返して、陰影がの残ってしまた85歳女性が、数日前からの微熱と咳で受診した(今日は元々予約日だったが)。右中葉に陰影が残っているが、今回は下葉S10に浸潤影が広がっていた。

 一人暮らしで、受診時は遠方の娘が連れてきていた。身の回りのことは誦文できる方で、誤嚥しているようには見えない。基幹病院呼吸器科に紹介した時に誤嚥性肺炎疑いとされたが、部位からいえばそうなのだろうか。低酸素ではない。今日も入院の準備をして午後からまた来ますと、いったん帰宅してからの入院となった。この緊急性に乏しいくすぶった感じもよくわからない。治療はABPC/SBTで始める。

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久しぶりに東京日帰り出張

2017年03月11日 | Weblog

 今日3月11日は、東日本大震災から6年目になる。当院は内陸部にあり、免震構造だったので、地震の被害は沿岸部の病院に申し訳ないくらいにほとんどなかった。停電になって、電力は自家発電に切り替わった。できるだけ電力を節約するため、夜間は薄暗い中で診療を続けていた。数日経過して午後2時ごろに、自家発電もできなくなった。もう診療は継続できないと暗澹たる思いになったが、約3時間経過してあたりが薄暗くなりかけた時に、一気に明かりがともった。東北電力の懸命の作業が間に合ったのだった。

 今日は臨床微生物学会の「感染症学セミナー」で東京に日帰りで出かけてきた。新幹線の中で、山本舜悟先生の「かぜ診療マニュアル 第2版」を読んでいた。DVDやインターネットセミナーで見た印象だけだが、人柄が伝わってくるようないい本だなあと思う。

 のど型(急性咽頭・扁桃炎)でCentor基準やMcIsaac基準があるが、細菌性扁桃炎の原因はA群溶連菌だけではなくC群溶連菌・G型溶連菌もあるので、A群溶連菌迅速試験陰性でも当てにならない。さらにはFusobacterium necrophorumもあるので、咽頭培養陰性でも当てにならないそうだ。

 急性扁桃炎の患者さんは咽頭痛で食事摂取が低下しているので、大抵点滴(抗菌薬点滴静注のルート確保)と血液検査を出している。溶連菌迅速試験・咽頭培養(保険で切られてもかまわないので)、白血球数(分画も)とCRP、肝機能・腎機能も見ている。常勤医はいないが、耳鼻咽喉科外来(大学病院からの出張)の診察も依頼する。やりすぎかもしれないが、扁桃炎の患者さんは相当つらい状況だから、そのくらい行ってもいいと思う。深頸部膿瘍の有無も、診てもらわないと怖い。点滴も患者さんと相談して複数本入れている。

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