なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「よくわかる血液内科」

2018年03月21日 | Weblog

 今日は休み。昨日は内科当番だったが、当直医の外科医からは連絡が来なかった。病棟から1回電話が来たが(今のところ)、大したことではなかった。天気予報通りだが、雨からみぞれになってかなり寒い。

 今日は「よくわかる血液内科」萩原將太郎著(医学書院)を読んでいた。同社の雑誌「JIM(現在は、総合診療)」の連載と、筑波大学付属病院水戸地域医療教育センターでの若手医師への講義をまとめたものだそうだ。代表的な血液疾患を、症例を提示してわかりやすく解説している。輸血の話・免疫の話もあり、血液塗抹標本まで(ちょっとだが)付いている。これは素晴らしい。

 初期研修医には充分だし、内科専門医コースの専攻医でもこのくらいで充分のような気がする(もっと高度な知識が要求される?)。後天性血友病も記載されていて、ちょっと嬉しい。繰り返し読んで内容を身につけよう。

よくわかる血液内科

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朝から急変

2018年03月20日 | Weblog

 昨日の朝に脳梗塞で入院している88歳男性が嘔気・嘔吐で食事がとれなくなった。総胆管結石の診断がついていたが、発熱もなく、検査値も安定していた。総胆管結石の治療ができる基幹病院に相談したが、満床で予定が立たないので、安定しているのであれば退院になってから外来に紹介してください、と言われてしまっていた。

 経過をみていたが、昨日から発熱があり、炎症反応上昇・肝機能障害を認めた。急性胆管炎でまだバイタルは保っているが早急な治療が必要になった。今日は消化器病センターのある病院から内視鏡検査に来てもらっていたので、その先生に相談して、そちらの病院に救急搬送させてもらえることになった。いつも助けていただいて、ありがとうございます。

 息子さんは神奈川県在住なので、新幹線で急いで向かってもらうことにした。午後の早い時間には到着すると言っていた。治療が終わったらまた当院に戻してもらって、リハビリを継続する予定だ(一人暮らしで4月に施設に入所する予定だった)。

 

 脳出血後遺症で身体拘縮・寝た切り状態にある67歳男性が、誤嚥性肺炎で先々週入院していた。軽快~増悪~軽快で経過して、すっきり治る気がしないでいた。昨日奥さんには、肺炎自体が治りきるかどうかわからないことと、到底経口摂取は不可能なので、肺炎がコントロールできたら胃瘻増設を考えていますとお話していた。

 看護師さんが懸命に喀痰吸引していたが、気管切開をしないと、十分には吸引しがたい状態だった。今日は急に呼吸が弱くなり、心肺停止に陥った。心肺蘇生を開始したが、結局反応せずに死亡確認となった。

 

 基幹病院呼吸器内科から88歳男性が当院に転院していた。誤嚥性肺炎で入院して、軽快したもののすぐに自宅退院はできないということでの転院だった。割に安定して過ごしていたが、昨日から発熱して誤嚥性肺炎が再発していた。呼吸が浅く、酸素飽和度は良かったが、今日はさらに浅い呼吸となり、酸素飽和度も低下していた。

 胸部X線で見る限り、それほど重症の誤嚥性肺炎ではないが、基礎疾患があり、余力がないのだろう。前医に戻すのもためらわれるし、後はそちら(当院)でできる範囲で診てくださいと言われると思う。家族と相談すると、苦しまないようにだけお願いしますということだった。

 

 40数名の入院患者さんを診ている暇がないので、看護師さんが足りない薬・書類・ほしい指示などを一覧票にして見せてくれた。それにしたがって、短時間で何とか最低限の指示は出せた。同僚の内科の先生は午前中内科再来・午後救急当番で、夕方に新入院を入れていた。病棟の看護師さんが、先生が病棟に上がってくるのを待ち構えている。

 

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鼠径ヘルニア

2018年03月19日 | Weblog

 先週の金曜日に高熱・呼吸困難で施設から救急搬入された92歳男性は、両側の広範な肺炎だった。昨年も両側肺炎で入院して、予後は厳しいかと思われたが、あっさり治った。

 抗菌薬を開始して、週末には解熱して元気になってきた。空腹を訴えている。きっと今回も治るのだろう。誤嚥性と思われるが、半年無事だったので、違うのだろうか。嚥下訓練をして、慎重に進めることにする。

 高齢者(この場合は超高齢者)の両側肺炎で、「入院した時から腹減ったという患者さんは治る」というあやしいClinical Pearlを持っている(個人の感想です)。

 昨日の日曜日の日直はバイトの先生(女性医師)だった。内科の入院はなく、67歳男性を腸閉塞として外科に紹介していた。鼠径ヘルニアで腸管が脱出しているが、気づかなかったらしい(外科に回したのでノープロブレム)。外科で診て、用手的に腹腔内の戻して待機的手術が予定された。

 入院では、土日に発熱した患者さんが3名と嘔気を訴えて食事がとれない患者さん1名がいて、今日は朝からバタバタしていた。

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高齢者てんかん

2018年03月18日 | Weblog

 水曜日に「高齢者てんかん」の講演会に行ってきた。てんかんの話を聞くことはめったにないので良い機会だと思うが、出席は少なかった。もったいない。

 高齢者はWHOによれば65歳以上になる。「高齢発症てんかん」だと高齢者になってから発症したてんかんで、「高齢者てんかん」だと若いころに発症して高齢になった患者さんも含むので、区別して下さいという。てんかんの発症率は小児期から若年期で多く、その後は低下するが、高齢者でまた増加する。有病率は1%なのでcommon diseaseになる。

 てんかん診断のステップは、1)発作性エピソードが本当にてんかん発作かどうか、2)てんかん発作のタイプは何か(全般発作、部分発作)、3)発作の原因は何か

 (発作型)

 発作型として、15歳未満では欠神発作・ミオクロニー発作が多いが、大人では減る。65歳以上では複雑部分発作が大部分で、二次性全般化強直間代発作になるのは1/4。その他の型は年齢で変わらない。

 高齢発症てんかんは複雑部分発作が多い。その特徴は、不注意・もうろう・健忘など非特異的発作徴候が多い。発作後もうろう状態が数時間から数日続く。側頭葉てんかんが6~7割になる。

 (病因)

 高齢発症てんかんの病因は、脳血管障害性が最も多く、次に神経変性性(アルツハイマーなどの認知症)。その他は脳腫瘍などがあるが、比率としては特発性も多い。脳血管性は17~69%、認知症性は2~14%と報告で幅が広いが。

 発作間欠期脳波は約1/3が正常(日本では15.7%)で、てんかん放電検出率は26~37%(日本では72.1%と高い)。脳血管障害後のてんかんは異常波が出にくいそうだ。

 (鑑別) 高齢者での鑑別

 鑑別は、失神・TIA・認知症・PNES(心因性非てんかん性発作)・RBD(レム睡眠行動異常)。けいれん性失神convulsive seizureというのもある。

 認知症   

 1)症状の変動でみる(分、時間、日数)。分の単位ではてんかん、日の単位では認知症だが、てんかんでも長いものがあるそうだ。2)認知症として非典型的なものはてんかんを疑う。3)初回脳波が正常な時は、再検あるいは睡眠時の記録をとる、だめならビデオ脳波。

 アルツハイマー病の仮設として、てんかん性活動(アミロイドβの問題)がアルツハイマー病発症(タウの問題)に先行するのではという。アルツハイマー病になってからてんかんが発症することもあるが。

 心因性非てんかん性発作 psychogenic non-epileptic seizure(PNES)

 これは故意に発作を起こしているわけではないそうだ。若い人だろう。提示されたビデオも若い女性だった。

 レム睡眠行動異常 REM sleep behavior disorder(RBD)

 これは起こせば覚醒して夢の話をする。REM without atonia。てんかんはREMにはほとんどないそうだ(1%くらい)。

(治療)

 高齢発症てんかんは、再発率が60~90%ある。高齢者では初回でも治療を開始する(若年者は2回目から治療するが)。1)先行する脳損傷、2)てんかん性脳波異常、3)有意な脳画像異常、4)夜間の発作があれば治療する。

 高齢者は他の薬を多く内服しているため、相互作用の少ない薬を使用する。また高齢者は忍容性が低い。新規てんかん薬(2006~2010年に発売)は副作用・相互作用が少ない。トピラマート、ラモトリギン、レベチラセタムがある。さらに新規のペラパネル、ラコサミドが出ている。てんかん診療ガイドラインご覧くださいという。

 高齢者では極少量で開始して、ゆっくり漸増する。中里教授の本には、start low and go slowとある。 

 

 ペラパネル(フィコンパ)を販売するエーザイの会だった。普通パンフレットなどをまとめて入口で渡されるものだが、なぜか薬のパンフレット・メモ用紙・ボールペンがテーブルにバラバラに並べてあって自分で持っていく形式だったので、私はメモ用紙だけ持って入った(宣伝になってない?)。ビデオ脳波の影像を多数持っているのは、さすがてんかん講座。

 会場の神経内科医から、「レビー小体型認知症で見られる意識変動とてんかん発作との鑑別は?」という質問が出た。それは難しくて、脳波をとってもよくわからないそうだ。専門医レベルの話。

 

 

  

 

 

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腸間膜脂肪織炎

2018年03月17日 | Weblog

 昨日関節リウマチの患者さんの間質性肺炎増悪を相談してきた内科の先生は、また珍しい症例を外来で診ていた。腸間膜脂肪織炎だった。(間質性肺炎は来週月曜日に地域の基幹病院の呼吸器内科受診予約)

 64歳男性が腹痛と発熱(38~39℃)で先週の日曜日に救急外来を受診した。腹部CTで小腸壁肥厚と周囲脂肪織の炎症像を認めた。入院治療の適応だが、外来治療を希望したらしい。

 外来で抗菌薬点滴と内服が開始されて、どうも効いたような経過で、炎症反応も改善していた。白血球数が8300から4900に、CRPが14.9から5.1まで下がっている。そのまま来週まで外来治療(点滴と内服)が継続となった(よほど入院が嫌らしい)。

 原因は不明とされていて、治療としては抗菌薬やステロイドが上がっている。今回は抗菌薬だけで対応できそうだが、効いたのか自然経過かわからない。ステロイドは著効するらしいから、使用してみたらどのような経過になったのだろうか(怖いから抗菌薬と併用だと思うが)。

 腸間膜脂肪織炎は前に診たことがあるような気がしたが、2年前に診たことがあった(ブログ名と病名で検索したら出てきた)。高岸勝繁先生の「Hospitalist」に腸間膜脂肪織炎のまとめが載っていた。

 昨日の当直医は他院の先生(バイト)で、内科当番だったので病院に泊まって待機していた。夜間の受診は少なかった。朝方に前立腺進行癌で泌尿器科に通院していた88歳男性が、心肺停止で救急搬入されていた。昨年夏と秋に肺炎で内科に入院している。慢性心不全もあり、AIで見る限りはそちらの悪化のようだが、癌の影響もあるはずで何ともいえない。

 

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リウマチ肺

2018年03月16日 | Weblog

 内科の先生に、「これはどうしましょうか」、と相談された。74歳男性で当院の整形外科外来(大学病院のリウマチ専門医担当)に通院している。

 そもそもは19年前に関節リウマチと診断されて、リウマチ膠原病科と整形外科の専門医のいる病院に通院していた。リウマトイド因子高値と臓器障害があり、悪性関節リウマチとされた。当初はリウマトレックスとステロイドで治療されていたが、経過中に積極的な治療ができなくなり(腎機能障害など)、現在はステロイドのみ(プレドニンン7.5mg/日)のみだった。

 先月の終わりから息切れを自覚するようになった。先週の月曜日に内科新患を受診して、総合感冒薬のみ処方されていた。経過としては数週単位の急性~亜急性だった。

 「今日の画像はこれですが」、と画面を開いた。数年前から間質性肺炎像は出始めていた。慢性の経過だったようだ。今日の胸部X線・CTでは明らかに陰影が増加していた。柔らかそうなスリガラス様陰影が広がってきている。白血球数は正常域(ふだんより少し増加)でCRP1.4と細菌性と比較してあまり上がっていない。LDHはふだんより上昇していた。

 私の返答は、「間質性肺炎の増悪として呼吸器科内科に紹介しましょう」。

 昨年の陰影

 今日の陰影

 

 

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こんなところに脳出血

2018年03月15日 | Weblog

 昨夜の当直帯で69歳男性が全身の脱力を訴えて受診した。受診時にはその症状は軽減していた。当直の外科医が頭部CTを検査したところ、右側頭葉下部内側に出血があった。頭部MRIで確認しても、やはり出血がある。こんなところの脳出血は見たことがない。

 当直医が脳外科紹介を勧めても、当院で一晩経過をみることを勧めても、絶対にいやと拒否して帰宅してしまった。しっかり家族に言って、また今日来てもらって頭部CTを再検したが、大きさは同じだった。やはり紹介・入院は拒否したので、1週間後再検になった。

 基礎に腫瘍などがないとこんなところに出血しないような気はするが、誰かわかる人に訊いてみたい。

 

 

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耳鼻咽喉科の話

2018年03月14日 | Weblog

 昨日は医師会の講演会に行ってみた。耳鼻咽喉科の教授の講演で、耳鼻咽喉科領域の新しい治療についての話だった。

 耳鼻咽喉科領域でも内視鏡手術が行われていて、その先生は内視鏡手術がお得意らしい。頭頸部癌は眼球や脳底部に波及して部位的に手術が難しいが、重粒子線治療を行うことで、ほとんど治癒することもあるそうだ。そのような治療はどこの施設でできますが、と会場の先生から質問が出た。答えは群馬県と千葉県の施設。福島県の南東北病院では重量子線の治療ができるそうだ。

 オリジナルの治療として、甲状腺癌術後などの声帯機能障害に披裂軟骨内転術を行うと発声が著明に改善する。また頸部のリンパ管腫やガマ腫にOK432(ピシバニール7)局注治療があり、治癒させることができるそうだ。

 いびきも、単にうるさくて周囲が迷惑というだけではなく、昼間の口呼吸や夜間の無呼吸の症状があり、治療が必要ということだった。高度の鼻閉、副鼻腔炎の合併、中耳炎(滲出性)の合併がある時は、耳鼻咽喉科にコンサルトが必要という。鼻閉には、下鼻甲介切除術と後鼻神経切断術が有効。

 鼻アレルギーの話では、講演会共催の製薬会社が出している「ビラノア錠20mg1日1回」を使ってくださいというのはお約束の宣伝。眠気の副作用がほとんどなく、効果も期待できる。まあ、アレグラでも遜色はないらしいが。

 スギ花粉症の舌下免疫器療法は皮下免疫療法に比べて、副作用が少なく、効果も十分得られるそうだ。副作用は口腔内違和感程度で(皮下ではアナフィラキシーもある)安心してできるという。

 久しぶりに市内の開業医の先生2名(内科)とお話ができた。当院の内科は(医師がいなくて)大変ですね、と言われた。

 「プライマリケアで一生使える耳鼻咽喉科診療」(日本医事新報社)はまだ読んでいなかったので、これで耳鼻咽喉科の勉強もしてみよう。

 プライマリケアで一生使える耳鼻咽喉科診療

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インフルエンザ・肺炎・腎不全

2018年03月13日 | Weblog

 内科クリニックの紹介で69歳女性が救急搬入された。先週の水曜日(1週間前)から微熱が続いて、感冒症状もあった。食欲不振・倦怠感で動くのも大変になった。インフルエンザB型陽性だった。

 搬入後の検査で両側肺に肺炎を併発していた。酸素飽和度は室内気でも保たれてはいた。血圧も110程度で、会話もできるがややぼんやりしている印象がある。呼吸数20/分で頻呼吸とはいえなかった。脱水症から急性腎不全を呈して、血清クレアチニン3,88と上昇している。血小板3万に低下している。

 入院で点滴が1000ml入ったところでも尿がまだ出ていない。点滴は明日まで多目に入れるが、血清クレアチニンは明日もっと上昇して、利尿期に入るまでは危険な状態が続くかもしれない。尿所見は異常がなく、腎炎ではなく腎前性のはずだが。

 

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よくわかりません

2018年03月12日 | Weblog

 昨日は、「医療従事者向け糖質制限食セミナー」(東京)に行って、江部先生を初めて直接見てきた。江部先生の講演自体はCareNeTVにもあるので大体予想通りだが、実際にお顔を見た方がやる気が出るというものだ。はんなりとした話しぶりだが、糖尿病学会はカロリー制限食しか認めず、食後高血糖・平均血糖幅の増大に対してどう責任をとるのだろう、と言っていた。

 高雄病院の管理栄養士さんの話は、具体的でよかった。糖質制限食は食費がかさむので1800Kcalを越すと、予算オーバーになってしまうという。何度か糖質量の話をしても、けっこう患者さんは誤解しているというが、そういうものだろう。患者さん教育用の薄い本(ブックレット)があるといいと思う。

 講演終了後は、ちゃっかり著書にサインをもらって帰ってきた。

 人類最強の「糖質制限」論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる (SB新書)

  新幹線の中と、東京淡路町と地元のスターバックスで、「教えて!ICU 集中治療に強くなる Part3」を読んだ。旅行のお供にはA5版の本がいい。林寛之先生の本もA5版だと助かる。

 教えて! ICU Part3 集中治療に強くなる

 

 高血圧症・糖尿病で通院している89歳女性はしだいに小球性貧血が進行した。年齢もあるので、内視鏡検査の前に造影CTでざっと検査してみたが、腫瘍は指摘できず、腫瘍マーカーも正常域だった。

 一人暮らしなので消化管の内視鏡検査は入院で行った。上部消化管は異常がなく、下部消化管も腫瘍はなく、痔核だけだった。といっても、排便時に鮮血が飛び散ることもなく、じわじわと痔核表面からoozingがあるわけでもないようだ。小腸病変の検索というわけにもいかない。

 外来で鉄剤を投与してもさっぱり反応がなく、Hbが10から9、さらに7台まで落ち込んだ。入院後は鉄剤を倍量にしてみて、やっと横ばいというところだ。夫はすでに死亡していて、お子さんはいない。責任者になる甥は、一人暮らしなのでしばらく病院に置いてくださいと言っていた。このまましばらく鉄剤で経過をみるしかないようだ。

 

 クリニックから38歳女性が紹介されてきた。不妊治療を受けていたが、最初に治療した病院では成功しなかったので別の病院に変えたそうだ。昨年10月の血液検査で炎症反応の軽度上昇があり、それが続いていた。内科で精査するように、今のままで不妊治療はできない、と言われた。

 近くのクリニックで検査しても同様の結果で、最初は風邪症状もあった。断続的に抗菌薬が3種類処方されたが、軽度の炎症反応は同じだった。紹介時に自覚症状はまったくない。発熱もない。白血球数軽度上昇は、喫煙しているので影響があるのかもしれない(以前は喫煙していても正常域だが)。不妊治療を受けたいなら禁煙すべきだと思うがやめられないという(職業は教員だし、まずいんじゃないだろうか)。

 症状として取り上げるとすれば、両側の手指が少し腫脹しているようで皮膚自体も硬いような印象があった。体重は同じだが、指輪が入りにくくなっているという。下腿浮腫などはない。強皮症を含む膠原病の検査を提出したが、ずべて正常域だった。

 経過をみて再検しませんかと提案したが、とにかく不妊治療を早く受けたいという。相談の結果、大学病院婦人科での不妊治療も考えていることもあり、大学病院の総合診療科に紹介することになった(申し訳ない紹介だ)。多少検査値に異常があっても、治療に支障がないというお墨付きがほしいのだった。

 

 

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