東久留米の『世界』7月例会の報告
東久留米の『世界』を読む会・zoomの7月例会は、13日(水)、3名の参加でした。
■ 第一テーマ・林寒盡「香港からの通信 第一回」
・ウクライナの陰に隠れて、香港やミャンマーのことが忘れられる傾向があるが、目を向けなくてはいけない。
・金融都市都市の香港の必要はもうないという扱いの中で、暗澹たる気持ちになる状況だ。
・香港のジャーナリストなどの闘いが続いていることを忘れないよ、という『世界』の連載の意義。
・中国内部にも豊かな知性があるのに、そういう動きが伝わってこないのが気になる。
■ 第二テーマ・藤原帰一「抑止とその限界」
・二月二四日の侵攻を前に、非常に危機を煽る発言が重ねられている状況に師岡カリーナさんが、こんなふうにしたら、侵攻しなければプーチンはチキン野郎になってしまう、侵攻をさせる挑発的な発言だと批判したのを記憶している。
・抑止の限界として、「電撃戦と瀬戸際政策」を取ったら、抑止論は効かないという説明に納得。〔p.79〕
・『世界』が主張するように、プーチンのような合理的判断をしない指導者がいれば「抑止論」は成り立たない、「抑止論は破綻した」といえるのだが、日本の政府や国民には抑止論へ傾く状態がある。
・「長い戦争」は、「危険な予測」に近付くという危険がある。このことは重大なのにあまり問題にされていない。
・文化力が非常に大きなロシアとの繋がりが世界中にはあるのだから、それを戦争を止める方向に生かすことができるのでは。
・8月号の「読書の要諦」で青木理が取りあげている、奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を-文学を探しにロシアに行く』が面白い。20年前ぐらいからジワーッと変わっていったロシアのことが窺えるものだ。その様子を考えると今の日本も危うい。
・〔p.84〕に、中国に対する通常兵器による抑止を否定しないようなことを言っているが、中国が日本を攻撃するというはあり得ず、アメリカの要請に従うものでしかない。
・「外交」と「国際法」だという、結論は良いと思う。
・抑止論批判を、もっと分かりやすく書くことが大切だなと思う。
■ 第三テーマ・松井芳郎「多国間主義の危機」
・「多国間主義」(「単独行動主義」に対して)という用語は大切で使いたいものだと思った。現代の問題を切り分けられる。
・市民は議会を通じて政府を動かして多国間主義を実行する力となることができる。
・国連憲章と日本国憲法の関連と違いの話しは面白い。憲法九条の私たちは国連憲章と同じ平和追求の道に立ち、その一歩先にいるのだ。
・『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ)を読んだが、素晴らしいものだ。これを読むと、とにかく戦争は駄目だ、ということが身に沁みて分かる。一人一人にとっての戦争が、体験そのものが書いてある。
◆7月号のその他のお勧めは
○ 巻 「保育で儲ける企業」 小林美希
○ 須山 「台湾有事と集団的自衛権」 宮﨑礼壹
でした。
◎ 東久留米の『世界』を読む会、8月例会のお知らせ
●日 時 8月10日(水) 午後7時
●zoomでのオンライン開催
参加希望の方は、メールを下さい。案内を送ります。
●持ち物 雑誌『世界』8月号
○共通テーマ
・「分断を超える「女性支援」へ」 戒能民江
・「ジャーナリズムはどこに息づくか」 依光隆明
・「新たな歴史を紡ぐアメリカ新世代の労働運動」 松元ちえ
※ 第2水曜が定例です。ご承知ください。
※ 他に、昼の部として、第3水曜、4時から会場で行なう会もあります。
● 連絡先 須山
suyaman50@gmail.com


