東久留米の『世界』9月例会の報告
東久留米の『世界』を読む会の9月例会は、zoomのオンライン開催で、14日(水)、午後7時より、3名で行なわれました。
■第1テーマ・高橋純子「冥福の祈りを邪魔しているのはだれだ?」
・エッセイのようで身構えずに読めたので良かった。
・「暮しの手帖」を読んでいるような感じがした。
・筆者は感覚を大切にしている人なんだな。
・メディアが報道する事の中で、安倍批判が極端に少なくなるのではという心配を筆者と共有した。
・〔p.34〕外務省のHPの歴史問題の内容が変えられていたことを、監視していたメディアを応援したい。
・痛快で冴えた批判の高橋純子節を読むのは楽しい。
・〔p.32〕「死者に失礼」という、よくしなう鞭を手にした人々、という比喩は秀逸だ。
・朝日川柳は安倍の死に失礼なことはしていない、岸田政権の国葬という政治利用の様を批判しているものだ。朝日川柳への攻撃は的外れでズレている。朝日川柳のレベルの高さを驚いた。
・〔p.31〕朝日川柳への攻撃の発火点の自民党参院議員は和田正宗です。「還らない命・幸せ無限大」の東電批判の川柳を読み間違いています。
・〔p.34〕日本国憲法第九七条「 過去幾多の試練に堪へ 」を引用して「幾多の試練」への備えを呼びかけているのは、憲法学習にもなった。
■第2テーマ・樋口範雄「妊娠中絶をめぐるアメリカ最高裁判判決を読む」
・アメリカでは州によって裁量が異なるのは、多様性の存在としてうらやましい。
・自己決定権を大切にすることは望ましいが、日本の中絶の承認は女性の自己決定権の確立とは異なる論理(夫の判断、医師の判断)でのものだ。
・強姦や親子間での妊娠に対して地域によって許されないケースがあるとは驚きだ。
・州の移動が出来るのは、経済的に余裕のある人々だろうから、貧しい層は大きな打撃になるだろう。
・「法」は少数者のため弱者のためにあるのだ、がその「法」が「政治」(多数)に左右される現状があるのは、アメリカにも日本にも言えることだ。
■第3テーマ・小田中直樹「歴史学(者)の役割とはなにか」
・かつての時代に較べて、このところ歴史学者が大きな影響を与えることが少ない気がする。
・読者に向けてというより、歴史学者に向けて書かれているようで難しい。
・マジョリティズムへの批判ということに接して、『世界』の読者は少数派なのだと自覚した。
・対話の重要性は、歴史学に拘わらず、世界の様々なことにおいて言える。
・歴史学で重視されるべき「事実」=「ファクト」の重要性は、SNSの中で現代を覆う問題になっている。
・「事実」の把握について、遅塚忠躬の「コミュニカティヴ」に、「暫定的な合意」と捉える視点が大切だとしているが、これは一般的な認識についてもあてはまる重要な見方だ。
・「熟議的コミュニケーション」と「闘技的コミュミケーション」と「マジョリストの敵対的言語」という比較検討は、勉強になった。
・「事実」を巡る対立意見の者との接し方として、参考になるものだ。
・困難で不安定な社会では、人々は「マジョリティズム」(自分が多数派であることで満足しようとする)(=ナショナリズム)に頼るということは、現状把握のヒントになる。
・教科書問題にあるように、歴史学(歴史)が、マジョリティズムに応えようとしてしまっていることを問題にしている。
◆9月号のその他のお勧めは
○ 巻 「ルポ 副反応 第2回 因果関係」 山岡淳一郎
○ 須山 「おわりなき歴史責任」 高橋哲哉
「「日韓歴史問題」と大学生」 加藤圭木
でした。
◎ 東久留米の『世界』を読む会、10月例会のお知らせ
●日 時 10月12日(水) 午後7時
●zoomでのオンライン開催
参加希望の方は、メールを下さい。案内を送ります。
●持ち物 雑誌『世界』10月号
○共通テーマ
・「宗教カルトの何が違法なのか」 郷路征記
・「民主主義と自治の再生へ」 岸本聡子×内田聖子
・「戦争の起源、NATOの役割、ウクライナの将来シナリオ」
マルチェロ・ムスト
※ 第2水曜が定例です。ご承知ください。
※ 他に、昼の部として、第3水曜、4時から会場で行なう会もあります。
● 連絡先 須山
suyaman50@gmail.com