東久留米の『世界』zoom・5月例会の報告
東久留米の『世界』を読む会・zoom・5月例会が、5月8日(水)、午後7時から、新しい方を迎えて3名で行われました。
■今月のテーマは
・「「ALS嘱託殺人」と隠蔽されたもうひとつの事件」
渡邉 琢
・「女性の過労死はなぜ見えないのか」 竹信三恵子
・「反戦・非暴力思想と脱植民地化の失敗」 阿部小涼
・「「負の歴史」をなぜ教えるか」 後藤 周×平井美津子
でした。
第一テーマ、渡邉琢「「ALS嘱託殺人」と隠蔽されたもうひとつの事件」
介助士の立場から、対象に対して真摯に向き合った好感の持てる文章だ。安楽死に関するヒーロー的な報道に接していたが、「生命軽視の姿勢」という重大問題がその本質だったのだ。6月号の「後編」で、事件の原因への考察がなされているが、「裁判の中で明らかにされた被告の生い立ちや死生観」という部分が、それに答える部分だろう。さらに「救い」と「殺人」が同居することを「恐ろしい」と感じて、その「恐ろしさ」をナチスの安楽死計画の思想と関連づけながら説明しているのは、深く考えさせられる内容だ。人間とは、生きることに価値を見出そうと努力する、存在である。
第二テーマ、竹信三恵子「女性の過労死はなぜ見えないのか」
女性の活躍を進める「男女雇用均等法」が、規制緩和による女性保護の撤廃と引き替えに導入されたことが問題を生んだ。女性の進出が、非正規の増大ということにつながった。女性の過労死を問うことは、男性を含めた従来の労災対策の問題点を改善することにつながる。パソナなどの大手の派遣会社の利益追求が背景にある。
第三テーマ、阿部小涼「反戦・非暴力思想と脱植民地化の失敗」
持って回った、思わせぶりな書きぶりで、内容が伝わらない。「日本で反戦や非暴力の思想が空疎な記号に堕した要因は、脱植民地化の失敗に求められることを、朝鮮戦争経験の省察に求める」というのだが、全くそうなっていない。
第四テーマ、後藤周×平井美津子「「負の歴史」をなぜ教えるか」
中学の社会科の教師の対談。優れた教育実践の報告だ。「主権者を育てる」教育を追求する授業は、自民党や維新の攻撃にさらされる。非常に抑制的で、芯のある人格者の対談だ。横浜、そして大阪のひどい状態が分かるが、大館市では市が主催して、「花岡事件」の慰霊祭を実施している。
などと、話し合われました。
■5月号のその他のお勧めは
・須山 「ガザ攻撃はシオニズムに一貫した民族浄化政策である」
早尾貴紀
「ボナエ・リテラエ 第18回 『光の子と闇の子』
森本あんり
◎ 東久留米の『世界』を読む会、6月例会のお知らせ
●日 時 6月12日(水) 午後7時
●zoomでのオンライン開催
参加希望の方は、メールを下さい。案内を送ります。
●持ち物 雑誌『世界』6月号
○共通テーマ
・「慰霊とアート 水俣から考える」小松原織香×小田原のどか
・「「セキュリティ・クリアランス」制度の何が問題か」
髙山佳奈子
・「同盟調整メカニズムと「外国軍隊」」 城野一憲
・「徴兵制は混乱するミャンマーに何をもたらすか」中西嘉宏
※ 第2水曜が定例です。ご承知ください。
※ 他に、昼の部として、第3水曜、4時から会場で行なう会もあります。
● 連絡先 須山
suyaman50@gmail.com



