● 上村達男 「NHKの再生はどうすれば可能か」を読んで
『世界』6月号 須山敦行
※ 籾井会長のあれこれを巡って報道を受け止めていたが、ここに書かれているようなことは全く知ることができていなかった。
まさに、『世界』が素晴らしい点だ。
世の中に起きていることの、真実と本質をつかむことが『世界』で可能になるのだ。
◎ 筆者は、民主党推薦?の元NHK経営委員で、監査委員、委員長職務代行者を務めたという、経営委員会の内部の当事者である。専門は会社法、商法の早稲田大学の学者である。
◎ 日本の民主主義にとって大切な、NHK、放送法という位置づけで、そのあるべき姿を考え探っている。民主的な政府がどのような、放送、放送法を持つべきか。それはどのように選ばれ、運営され、監査されて、民主主義を保障されるのか、という問題である。
◎ その中で、籾井会長がいかに、会長にふさわしくなく、あってはならない存在であることが、具体的な事柄として述べられている。
◎ その背後には、これまで重んじられてきた「中立性」を担保するための慣行が、安倍政権によって変えられてしまったことが批判されている。
◎ 《「国会同意人事」と「政府任命人事」》
国会同意人事は、時々の政府の意向に左右されてはならない独立性の強い人事、
具体的には
国家公安委員、公正取引委員会委員、中央労働委員会公益委員、人事院人事官、日銀総裁
等に関する人事をいい、
NHK経営委員もこれに含まれる。
NHK経営委員およびNHK予算については、
政府も謙抑的姿勢を維持し続けてきたのであるが、
安倍内閣になって以来、
NHK経営委員の人事は政府任命人事と同視され、NHK予算も政府予算と同等の扱いを受けるようになった。
◎ 《自民党の情報通信戦略調査会のNHKとテレビ朝日の呼びつけ》
NHKとテレビ朝日としては、
まずは聴取の法的根拠について質した上で、
「自律の保障」により表現の自由を確保するという放送法の規定を掲げることで、聴取に応じるべきではなかった。
そのうえで、放送法に則り、十分な調査を自律的に実施し批判を仰ぐという姿勢を示すべきだったように思われる。
※ 素晴らしい! 具体的な提案だ!
◎ 文末に、「退任にあたっての挨拶 NHKで働く皆さんへ-独立の気概と民主主義について」という文章が載せられているが、内容が深く、感動的である。
早稲田大学の建学の精神は、「学の独立」である。
「独立」「独立自尊」
これは常に、「強い者に対する独立」を意味しています。
弱い者に対する独立とは意味不明であります。
これは強い者からみると「少数意見の尊重」を意味しています。
「表現の自由の保障」とは、そうした少数意見に対する保障を意味する
「私は、あなたの意見に反対だ。しかし、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」ヴォルテール
民主主義というのは、
少数意見に対する寛容の精神と、強い者への独立の気概によって支えられるもの
民主主義は寛容なものだが、「しかし、不寛容に対して寛容ではない」ラートブルッフ
「空気を読むな」「匿名の世界に関心を持つな」
民主主義の市民や人間に「匿名」というのはないのです。
※ 民主主義は、未来の問題ではなく、現在の今生きている、今活かすべきもののことである。私の明日の行動の一つ一つが民主主義の実践であり、学習である。
努力することによって、私から、ここから、一人の所から、民主主義を生きることができる。
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