zoom『世界』を読む会・7月例会の報告
7月29日(金)、午後7時から、zoomの『世界』を読む会・7月例会が、行なわれました。3名の参加でした。
今月のテーマは
・宮﨑礼壹「台湾有事と集団的自衛権」と、半沢隆実「暴力と分断」でした。
宮崎さんの論稿は、安保法制の集団的自衛権の容認が、全くの憲法違反で、どうみても認めることは成り立たないことを、詳しく、正確に説いています。その論理を私たち市民が自分のものにすることはなかなか難しいのですが、勉強すべきことだと深く思いました。
「台湾有事」という言葉が弄ばれていますが、実際に「台湾有事」とは、どのようなシナリオになるのかを、具体的に説明しているところなど、浮ついた論者に突き付けたい内容です。
集団的自衛権の下での、自国が攻撃されていない段階での「敵基地攻撃」がなされるなら、我が国は個別的自衛権の主張すらできない状態に陥るということ、抑えておきたいと思いました。
〔p.115〕「4 おわりに」で、述べられていることに深く同感だという意見が印象に残りました。色んな論稿が、テクニカルなあれこれの議論に入っているが、ここには、「植民地支配」の反省という歴史を忘れる態度に対する怒りが込められている。「思想」が主張されている。それこそが大切だ、という意見でした。
元内閣法制局長官という、理論的な思考のエキスパートが、次のような熱の言葉で論を締めくくっています。
「しかし、現行憲法第九条が厳存する以上、かかる「国策遂行のため」の武力行使の道をたどるのは、違憲であるのみならず、自己の歴史に対する最低の無知ないし健忘症である。
中国侵略の総括もきちんとした和解も未了のままに、自国が侵略されようとしているわけでは毫もないにもかかわらず、再び中国の人々に対し武力を行使するような歴史の末路を見るのは、まっぴら御免を蒙りたい。」
戦争の実相を抜きに、自衛だとか抑止だとか語る人に、お薦めするものとして、スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』と、『ボタン穴から見た戦争』が紹介されました。戦争を学ぶ夏にしたいです。
半沢論文では、「クリスチャンナショナリズム」の根強さ、それが、あの議事堂襲撃事件にまで至る実態を見ると、宗教がもたらしている何かに世界が脅かされているのを感じました。
大塩さんから、議事堂襲撃事件の「死者」のリストを提供していただきました。
アメリカが大きな分断という危機を内包していることは、世界にとっても憂慮すべき事態であることを感じました。
◎ ZOOMの『世界』を読む会、8月例会 の予定
●日 時 8月26日(金) 午後7時~9時半
※ 月末の金曜が定例です。
○共通テーマ
・「持続可能なメディアはヤフーに頼らない」 下山 進
・「中国は敵か 憂える経済人」 斎藤貴男
○参加ご希望の方は連絡下さい。案内を差し上げます。
● 連絡先 須山
suyaman50@gmail.com



