藤原伊織著、講談社刊
藤原さんらしい、相変わらず、ほの暗いトーンの物語です。陰を引きずった主人公と、少しばかり変わったヒロイン。その二人の魂が少しずつ惹かれ合って行く。そんなステップと平行して、奇妙な、違和感のある出来事が生じる。それは、ぼんやりとした出来事の連続であったけれども、次第に焦点を結んで行き、ある種の不気味さが姿を現して行きます。
本書は、そうしたストーリーの頂点で、作者の死により未完となっています。従って遺作となるのだと思います。小説現代に掲載された連作の短編という位置づけのようです。そして、最後に、同じく、小説現代に掲載された「オルゴール」が収録されています。これも、珠玉、といって良いできだと思います。会社を経営する男が、仕事先の女性と知り合い結婚するが、その女性はバツイチで、心の傷になっている過去を持っています。そして、その女性と主人公の人生が瞬交差した後、悲劇が訪れ・・・。
人の出会いと別れが、美しい思い出となることは稀かもしれませんが、心の奥底まで深い傷を負わせてしまう、そんな辛い経験を抱えて生きる人や、そうした人と交わった人が経験する心象風景を、音楽と酒で見事に描いています。「遊戯」が完結しなかったことが残念です。
評価は4です。
藤原さんらしい、相変わらず、ほの暗いトーンの物語です。陰を引きずった主人公と、少しばかり変わったヒロイン。その二人の魂が少しずつ惹かれ合って行く。そんなステップと平行して、奇妙な、違和感のある出来事が生じる。それは、ぼんやりとした出来事の連続であったけれども、次第に焦点を結んで行き、ある種の不気味さが姿を現して行きます。
本書は、そうしたストーリーの頂点で、作者の死により未完となっています。従って遺作となるのだと思います。小説現代に掲載された連作の短編という位置づけのようです。そして、最後に、同じく、小説現代に掲載された「オルゴール」が収録されています。これも、珠玉、といって良いできだと思います。会社を経営する男が、仕事先の女性と知り合い結婚するが、その女性はバツイチで、心の傷になっている過去を持っています。そして、その女性と主人公の人生が瞬交差した後、悲劇が訪れ・・・。
人の出会いと別れが、美しい思い出となることは稀かもしれませんが、心の奥底まで深い傷を負わせてしまう、そんな辛い経験を抱えて生きる人や、そうした人と交わった人が経験する心象風景を、音楽と酒で見事に描いています。「遊戯」が完結しなかったことが残念です。
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