読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

健康という病

2011年04月03日 18時44分42秒 | ■読む
米山公啓(きみひろ)著、集英社新書刊
現在の日本は世界に冠たる長命の国です。それは、豊かで文化的な生活と十分に発達した医療保険制度によって、達成されているようです。その現代にあっては、長寿だけでなく死ぬ直前まで元気で生活したい、と願っているお年寄りがほとんどです。いわゆる「ピンピンコロリ」を願っている。私の母も、ひたすらそう願い、大分足腰が弱ったものの、寝たきりの期間は数ヶ月でしたから、ほぼ願いを達したと思います。そして、永の患い伏せるお年寄りはそんなに多くないとの事です。しかし、自分がそんな状態になるのは、自身にも子供達にとっても望ましくないのだから、熱心に健康を希求することは、十分に理解できます。(実は私もその一人ですが)
さて、本作は、そうした「健康志向」の現代にあって、「健康」というものの本質を問わないまま、闇雲に「健康」を請い願う人々の考えたや、医療やスポーツ、あるいはその周辺の産業全体に存する問題点を指摘しています。例えば、歳を取れば身体の機能が低下するのは当然だから、それを受け入れた上で、自分なりに生活の質を維持すれば良いとせずに、そうした加齢現象(高血圧自体がその一例)を受け入れることが出来ない。あるいは、健康診断の各種検査によって、健康の保持・増進がどの程度向上しているのか、例えば脳ドックが、現実に死亡の予防にどの程度寄与しているかが科学的に明らかにされていないというのです。
また、運動が健康の維持・増進に良いというのも一般的な常識となっていますが、実はどの程度の運動が健康に良い影響を与えるかは科学的に明らかではない、としています。著者は健康診断の部門にも在籍していた医師で、一般に広まっていない「健康」にまつわる思い込みを、本書でいくつか指摘しています。私も加齢現象に悩まされていますが、本書によって「健康」の在り方が、一人ひとり異なっていること、自分の身体や生活と折り合いを付けて暮らすことが必要だと感じました。
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URL => http://yoneyone.com/
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評価は4です。

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