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小林章夫著、文春文庫刊
西洋社会の代表国家といえば、現代ではアメリカでしょうが、それ以前はイギリスでした。17-19世紀に西欧の国々が血みどろの戦いを繰り広げ、世界の覇権を掛けて海外の国々を侵略し富を収奪しました。そして勝ち残ったのがイギリスです。
かつて、日本の手本と一つとなったこの国は、今でも、歴史と伝統が育んだ文化を保っており、軽薄になり勝ちなアメリカと対照的です。コメディ映画を見ると明らかで、アメリカの作品はがさつで押しつけがましい作品が多く、私の好みではありません。イギリスの作品は、自虐的な面があり、キツい皮肉が込められて楽しめます。
イギリスの歴史と文化をある程度知っても、イギリス人の具体的なイメージが湧きません。本書は、そうした興味に答える著作です。イギリスでの生活経験があり、英文学者、英国文化研究家である著者が、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの集合体である「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」という国の代表的な人物やその作品を通して、イギリス人の素描を描いています。かつての日本人が見たイギリス人の描写が面白く、たまに耳にする「ジョン・ブル」なる人物の説明が意外で興味深く読みました。
日本人とは、といったところで、様々な人が居るのは当然ですが、一つの文化圏として、ある共通の特徴があるのも事実です。そのような観点から本書を執筆したと思いますが、数多くあるであろう切り口の中から、本書のような構成を思い付くのは、なかなかに大変だったかと思いながら読み進めました。著者は、他にもイギリスにまつわる多くの著作があるそうなので、折を見て、他の著作も読みたいと思います。
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○小林章夫 ○イギリス
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