読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

バルセロナ 地中海都市の歴史と文化

2014年11月06日 19時14分48秒 | ■読む
岡部明子著、中公新書刊
ヨーロッパの民族には様々あり、ローマ帝国の成立以後も、近代に至るまで多くの国が成立し崩壊してきました。しかし、今日の国家の枠組みで考えることが習い性になっているので、スペインも同様に単一の民族と考えていました。スペインはイスラムの侵功とレコンキスタの経緯から、小国が分立し、その後も複雑な経緯を辿り民族意識が根強く残っていることから、日本人の感覚からすると大変に分かり難いのでは無いかと思います。
本書は、建築家としてキャリアをスタートした著者が、縁あってバルセロナに10年余り住み、様々な体験からバルセロナという都市の本質を感得した経験が基盤となっているようです。私は読了するまで、著者が女性であることと建築家であることに全く気付きませんでした。平明で過剰な思い入れのない、透明感のある文章です。
内容は、ローマ帝国時代の成立期から現代に至るまで、バルセロナがどのように形成されて来たのかを、都市計画の視点、建築家の視点、文化・芸術の視点などから多面的に述べており、読了すると、それらの別々の事柄を通して今日のバルセロナの全体像をリカし出来るように構成されています。一人の人間が、このように多面的かつ深い内容で都市を描くことは容易ではないと思いますが、著者は上梓まで5年を要したとのことです。力作です。
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URL => http://urbanlab.tu.chiba-u.ac.jp/okabe/
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評価は4です。

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