曲亭馬琴作、小池藤五郎校訂、岩波書店刊。
音読は惚け防止に効果があり、脳の活性化にも効果があるとのことから、本シリーズは、基本的に音読で読んでいます。初版が戦前であるため、漢字にすべてルビが振ってあります。それにしても読みにくいことは確かで、惚け防止の効果は大いに上がっていると思います。
さて、八剣士が段々に登場してきました。この巻では五人が登場します。そして、物語の進み方が、半端でなくスリリング . . . 本文を読む
非常に分かり易い映画です。キャラクターもはっきりしていて、ストーリー展開を楽しむタイプの映画でした。私が魅力を感じたのは、ハーフブリーダーの「ガブリエル」を演じたティルダ・スウィントンと、「ルシファー(サタン)」を演じたピーター・ストーメアでした。ともに人間離れした(人間じゃぁないので当たり前ですが・・・)キャラクターを見事に演じていました。もちろん、主人公達も魅力はありましたが、映画は、脇役の演 . . . 本文を読む
宮本輝著、横浜カセット文庫発行。
宮本さんの独特の味わいが良く出ている作品です。母が、亡き父に隠し子に、ふとした事で気付きます。時の悪戯によって・・・。修羅場にも愁嘆場になり得るそうした場面が淡く描かれています。
評価は4です。
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シリーズビデオの2巻目です。地中海シリア沖の海底に眠っていた沈没船の積み荷であるアンフォラと呼ばれる容器をNHKの取材班が発見し、これを契機に、日本とシリアの学術調査隊が、海底改訂の発掘を始めます。
こうした壺は、西欧の古代から中世にかけて、ワイン、オリーブ・オイル、穀物などを収容して運搬するための容器として使用されていたとのことです。形は様々で、年代や産地も、未だに、すべてが特定されてはいないそ . . . 本文を読む
稲見一良(いつら)著、光文社刊。
読み終えて心が穏やかに、そして生きてゆく元気が湧いてくる著作です。氏の「ダック・コール」が山本周五郎賞を受賞していることは知っており、既に未読書架に待機していますが、第12回日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞を受賞している本書を、たまたま先に読みました。5つの味わいの異なる短編からなっている著作ですが、通底していうるのは、侠気なのでしょう。いい感じです。
肝臓癌と分 . . . 本文を読む
垣根涼介著、幻冬舎文庫刊。
垣根さんが、後に三賞を受賞した「ワイルド・ソウル」の執筆ために取材した南米を巡る都市での見聞をまとめた本です。作品から想像していた作者の人柄が、本書に滲み出ていたように感じました。同時に、意外な一面にも。
意外な面は、作者が貧しい家庭に育ったので、大学進学は学費のかからない国立大学であって、生活費も掛からない(物価が安い)土地に立地している、そして専攻したい学科のある大 . . . 本文を読む
横山秀夫著、文春文庫刊。
映画の予告編で「クライマーズ・ハイ」の名前を聞き、関心を持っていました。なので、大量の未読蔵書に加えて半年程。昨日から読み始め、「はまり」ました。久々に、硬質でありながら心に染み渡る小説を読みました。幸せです。仕事の一瞬に人生を掛ける機会はそうそうないと思いますが、そうした経験は社会人を永くやっていれば何度か巡って来るはずです。本書では、その臨場感が凄い。
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斎藤兆史(よしふみ)著、ちくま新書672刊
経歴を見ると、東京大学文学部を卒業の後、米国インディアナ大学英文科修士課程、英国ノッティンガム大学英文科博士課程を修了し、現在は東京大学総合文化研究科准教授とのことです。著作によると、著者は将棋や合気道を趣味としているそうで、学問一辺倒ではないようです。
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UR . . . 本文を読む
NHKの上質なテレビ番組のビデオ版です。ナレーターは伊武雅刀さんで、非常に落ち着いて素晴らしい。陸上のシルクロードは良く知られていますが、海のシルクロードは余り関心を寄せられていません。しかし、人類が陸上の交易を通じて、中世以降のヨーロッパ人が切り開いた遙か昔に、ローマ帝国や中国の唐が海を通じて、アジア、アフリカ、ヨーロッパの世界を結び付けていたとのことです。
その時代、インドで作られた外洋用の船 . . . 本文を読む
私が好きなカラオケは河島英五さんの「時代おくれ」です。酔っ払って、自己陶酔の世界で歌う時の快感は、そりゃぁ良いものです。たいがい聞き手は関係ないですから。で、久しぶりに聞こうかなぁ、と思い YouTube で聞き回っていたら、以下のURLで、ちあきなおみさんの唄に出会いました。本歌とは異なる魅力に溢れた曲でした。
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梅本育子著、横浜カセット文庫発行
梅本さんの2作目のカセット文庫です。粗筋は、裕福な酒屋が、生まれた子を次々に里子に出して、一人だけ残した長男が死んでしまった。困った酒屋は里子に出した内の一人である「おしげ」を跡取りとして連れ戻そうとしますが・・・。
なぜ、次々に里子に出すのか、そして身勝手に連れ戻すについての思案は・・・。
軽いながらも、人生の機微に響く作品です。
評価は4です。
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かつて合唱という世界で、それなりに感動しながら、一方で、山下達郎の「On The Street Corner」の格好良いアメリカのドゥーワップが好きでした。もちろん合唱の世界では異端でしたが。
時が経ち、およそ20年が過ぎた頃に「ハモネプ」が誕生しました。ちょっと恥ずかしいですが、感動で涙しました。何と豊かな文化の時代なのだろう。今、YouTubeで伊藤由奈がセリーヌ・ディオンとスタジオで録音をし . . . 本文を読む
A・F・ママリー著、世界ノンフィクション全集第6巻(筑摩書房刊)
山岳記の名著とされている作品です。この全集への収録に当たり、かなり短くされているようです。貧弱な装備でヨーロッパアルプスを登った時代の登山の様子が描かれています。当時は、地元の登山ガイドを雇って登ることが一般的で、登山の際の面倒なことは、ガイドが一切行っていたようです。しかし、著者のママリーがガイドレスの登山を始めたようです。当時の . . . 本文を読む
彼女の「月光」は寂しい曲です。思春期の荒涼とした心象風景と孤独な荒野を想起させます。生まれてきた理不尽さ、生きてゆく不可解さ、行方の分からない時間の中で、どうしたらよいのか・・・。
かつて、吉田拓郎が「イメージの詩」で「生の理不尽さ」に対する具象的な異議を唱えたのに対し、彼女は、より不確かな形で刃を振りかざしているように感じます。日本の若い人々の才能が花開いている感じがあります。「ら」抜きの間抜け . . . 本文を読む
小泉武夫著、集英社刊。
テレビなどでお馴染みのパワフルな小泉さんの著作です。以前に読んだのは、美女を招いての美食での対談ものでした。少年がそのまま大人になったようなお人柄が好ましく、関心を寄せて追いましたが、本作でも、独特な文体で楽しく、食の冒険を披露しています。主に東南アジアのものですが、先日読んだ椎名誠さんの「秘密のミャンマー」と同じネタが出てきました。『チャイティーヨ・パゴタ』で、岩山の上の . . . 本文を読む