友野典男著、光文社新書54刊
経済学は、経済を担う一人一人の人間が「経済人」という、理性的で利己的な人間が主役となって、社会経済生活を送っている、と仮定されて理論が構成されています。しかし、実際の人間は、経済人に相応しくない選択や行動を取る。そうした、経済学の根本的な矛盾を認めた上で、現実の人々の行動の背景にある心理や文化体系に迫る「行動経済学」の様々な知見を400ページ弱のボリュームに、みっち . . . 本文を読む
人身売買組織に娘をさらわれた、元CIAの工作員が、娘を取り戻すために組織に挑んで行くストーリーです。主人公のリーアン・ムーアは、色々な映画で見掛けますが、最も印象に残ったのは「マイケル・コリンズ」です。本作でもそうですが、役になりきっている感じがしました。
さて、本作は全くのアクション映画で、上等の冒険小説のようなスピード感があって、絵空事だと分かっていても、引き込まれてしまいました。そんなに都 . . . 本文を読む
最相葉月著、新潮文庫刊
誠に長大な作品です。文庫本で600ページ程。しかも、密度が高い。青いバラにまつわる西欧の伝説に始まり、世界各国と日本の育種の歴史。取り分け日本の育種の歴史は、圧倒的なボリュームがあり、しかも深い。このような高密度のノンフィクションは読んだことがありません。読了するのに、半年ほども掛かりました。決して面白くない、というのではありませんが、様々な人物や事柄の後付が圧倒的に濃密 . . . 本文を読む
渡部昇一著、三笠書房著
渡部さんの著作を読むのは実に久しぶりです。30代に何冊か読んで非常に刺激を受けましたが、今回読み直して、またタイトルを見て「意志的に生きる」ことの大切さと困難さを再確認しました。内容は、渡部さんが実践してこられたことを、その理由や契機を交えて紹介しています。いずれももっともな内容で、私自身の来し方を振り返り、つい自責の念に駆られてしまします。しかし、若い時分に接したことが幾 . . . 本文を読む
茨城県つくば美術館で開催中の展覧会です。この展覧会は、京都の染色専門の美術館「染・清流館」所蔵の作品を紹介しています。
今まで、職人の手仕事を紹介する書籍やビデオを結構多く見てきました。なので、そうした延長線上にある作品が展示されているものと思っていましたが、とんでもなく別物でした。下記のURLで見るごとく、ほとんどの作品は「絵画」というべきものでした。
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昭和58年(1983年)制作で、原作は山口瞳さんの同名小説です。主人公の高倉健さんが、そのまんまのはまり役だし、恋人役の大原麗子さんが綺麗で素敵でした。当時のお二人の年齢は、高倉さんが52歳、大原さんが37歳です。まぁ、大原さんは女盛りでしょうが、高倉さんはどう見ても40代にしか見えない身体でした。(顔だけ見ると52歳は納得です。)
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杉浦日向子著、筑摩書房刊
杉浦さんが監修した「お江戸でござる」を大変に興味深く読みましたが、その時に、杉浦さんの本職が漫画家だと知り、本書を手に取りました。本書は、江戸期の郭(くるわ)を舞台にした作品を中心に19の作品が収録されています。素朴なタッチの絵もありますが、郭物での登場人物は、浮世絵風の描写で、粋な男、色っぽい花魁など、実に妙なる男女が登場します。そして会話が実に粋で奥深い。果たして男女 . . . 本文を読む
NHKエンタープライズ社制作
台湾の故宮博物館は2度行きました。何重もの殻になった休憩の彫り物など、どうして作ることが出来たのか不思議な作品や、翡翠の白菜とコオロギなど、実に精密な作品が展示されています。
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URL => http://www.npm.gov.tw/j . . . 本文を読む
太田垣晴子著、メディアファクトリー刊
太田垣さんの著作は面白い。この前に読んだのは「ぐうーの音」とい書籍で、いわば「漫画による食べ歩きの記録」です。一方、本書は、普段から太田垣さんが実践している料理を紹介しています。その他に2つの種類の内容が含まれていますが、これが一番面白い。
描かれたイラストには、太田垣さんがダラーっとしたキャラで描かれていますが、美味しい物好きで、日々工夫をしている様が窺えま . . . 本文を読む
トランスフォーマー・シリーズの2作目です。前作同様、車や飛行機から変形するロボット達が登場しますが、その数が大幅に増えており、そのせいか制作費が倍になっています。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/トランスフォーマー:_リベン . . . 本文を読む
村上龍著、幻冬舎文庫刊
20代に村上さんの『限りなく透明に近いブルー』を読んで、さっぱり理解できませんでした。つまり「だから何なのだ?」という感じでした。どうも、昔から芥川賞とは相性が悪いようです。最も、第1回の受賞作品である、石川達三さんの「蒼氓」と次の鶴田知也さんの「コシャマイン記」には、深く心を打たれましたが。
その後、読売新聞で連載された村上さんの「イン・ザ・ミソスープ」は、毎朝、取り憑か . . . 本文を読む
日本映画で喜劇が元気なのは良いことです。三谷幸喜さんの作品は「ラヂオの時間」以来欠かさず見ていますが、本作は、また違った大人の喜劇として鑑賞できる内容です。主演の中村勘三郎さん、柄本明さん、小泉今日子さんなどの芸達者以外にも、味のある、あるいは意外性のある人々が登場しています。
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奥田英朗著、文春文庫刊
下記のURLを見てびっくりしましたが、奥田さんはずいぶん賞を受賞している。
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●2001年 - 『邪魔』で第4回大藪春彦賞受賞、第125回直木三十五賞候補
●2002年 - 『最悪』で第21回吉川英治文学新人賞候補、『イン・ザ・プール』で第127回直木三十五賞候補、『マドンナ』で第 . . . 本文を読む
いゃー、面白かった。何なんだろう???という興味だけで見ていました。その疑問が前半で氷解してからは、物語のテンポが速く感じ、あっという間に終わってしまいました。下記のURLでは、原作を紹介していますが、それによると映画では中盤以降が変えられているそうです。疲れている時に、心が軽くなるお勧めの作品です。
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酒井順子著、新潮文庫刊
制服について考えてみたのだぁ~、という感じの作品です。制服とは何か、人が制服にも求めるものは何かという、2つの軸から、様々な制服について論じています。著者によれば「拘束」こそが制服の魅力の源泉であるとのことで、制服に惹かれる人は、(私の考えでは)拘束という拠り所に安心感を覚え、その拘束に耐えつつ、ある秩序に加わり、秩序を体現することに喜びを感じるのではないか。
世の中には多 . . . 本文を読む