夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

善意の空回り

2011年01月08日 09時53分40秒 | 芸術・文化


正月早々お金の話で申し訳ないけど。

人のために努力して、その結果が報われないならまだしも、そのために相手に反感を持たれたり、不信感を与えたりするようなことがあると、自分も相手もとても嫌なもんですよね。
自分はがっかりだけど、相手はその人が自分のことで努力しているのが分かっていればいるほど文句も言えない、騙されたわけじゃないだろうけど、、、、不愉快な気持ちをどこにぶつければなんてね。


企画を立て、さあやろうとしているときに、お金を欲しい。
大きなところは、どんと企業スポンサーをつけて行く。こんな企画をやりますから御社、スポンサーになってよ。「はい、一口5000万ですよ」なんてね。
でも、お金をもらいながら、これを承諾してくれる会社ってどんな頭をしているんだろうね、、、、って不思議でしたけどね。
そろばんでは判断できない、企業のイメージPRにそんなお金を出せるなんて、、、、


残りの小口の部分は広告バーターというのをよくやりました。このイベント(ほとんどが展覧会などの美術関係の企画でしたけど。音楽やステージは、企画の楽しみ、、、、コンセプトを作り、展開を考えなんてのが少ないし、中心が人だから、資格を持つマネージメントに投げてしまわなきゃいけないから)でその企業のPRをしますから、その広告費分のサービスを提供してくださいねってことですね。
こちらのほうが、ある程度そろばんづくだから仕組みはよくわかる。

例えば、保険会社なら、広告よりも入場券。1万枚あげるからその分保険代を割り引いてって申し込むんです。入場券が1000円なら、1万枚で1000万。。。でもそこまでは見積もってくれませんけどね。
持ってくる物の評価が何千億、あるいはその更に上の単位になるんですから、保険代だって、千万単位、あるいはその上の単位で来るんです。なにがなんでも支出を減らさなきゃって、支出以前に体がすり減ることをやっていたんです。
保険会社は、勧誘のおばちゃんたちにそれを渡して、これはうちが協賛している展覧会なんですなんていいながら勧誘の相手にお土産にするんです。

でも、広告バーターの最たるものが航空会社との交渉。
こちらは普通は入場券などを必要としていないから、なかなかしぶいんです。
でも、美術品の運送や、下見、契約などの人の動き、どうしても契約してもらわなきゃってことですね。
私たちが企画する美術展などに航空会社の名前が協賛でついているのはそのせい。

その広告バーターで一番大切なことは、どれだけこのイベントが告知されるかってこと。入場券やポスターに協賛の名前が出ても、高が知れているでしょ。
そのために、まず私たちが必死になるのが名義主催をしてくれるところ。
この新聞、テレビが主催に立ちます。告知やイベントの紹介記事の中に御社の名前が出ます。その新聞やテレビを見る人の数はいくらいくら。だからその分を広告費として見て下さいってことですね。
私の企画には全て三大紙や大手の経済紙がスポンサーになっていました。
国営放送なんて手もあるんですけど、あそこのイベント担当はたいがい生半可な知識を持っているのでやりにくいし、他から横やりがはいって、途中でぼしゃるケースも多くって。国営放送ダイレクトでなくても、その子会社ならまだやりやすいんですけどね、、、、
展覧会がらみの放送で、外国の街並みが写り、その隅っこになんだか航空会社の看板が写っていたり、飛行機が飛んでいたりするのは、この手ですね。
民放だと大っぴらにやれるんだけど、ここはそうはいかないから。
この建前、、、若手のプロデューサー辺りはニュース番組でも民間の会社の名前が入るのはまずいなんていうけど、上の方だと、どこの会社がこんなのを出しましたなんて平気でだしているでしょ。
組織が巨大になるとね、、、、
建前で縛られている人たちが多すぎて。
見てて胸糞悪い。
でも、アナログでも地デジでも、この国営放送の電波の届かない地域に住むと、さっぱりしすぎて、寂しいな~

こういう動き方をするもう一つ大きな媒体が、広告会社。日本の二大広告会社の力ってすごいんです。テレビや新聞の広告枠は抑えているし、スポンサーも自由に選べるし、、、
この線で企画をまとめると、経済的なことは何も心配いらない、左うちわで寝てればいいになるんですけど、企画がどうしてもアミューズメントになってしまう。企画が入場者の数、広告収入の数で判断されてしまう。だから当初のコンセプトからずんずん離れて行ってしまうことが多いんです。
地方の企画なんかにしても、ここをつけると、とんでもない数の人が集まるし、とんでもないメディアへの露出になる。でも、企画の仕事とアートマネージメントは似て非なるもの。一番核になる部分が違うんです。

地方の大学なんかから、講師でなんてお声がかかったりすると、美学の講座をお持ちですかって最初に聞いて、なければその場でお断りっていうのもその辺ですね。アートマネージメントの核は美なんです。それはどこまでいっても忘れてはいけないこと。でも、なんとなく人が集まれば、活気が出ればってことで安心しちゃうことがだんだん多くなるんですけどね。

何百万人入るイベントのプロデューサーの一人になったり、四千人以上入るホールのこけらの一つを頼まれたりしたことはありますけど、やはりなんか違うんです。そんなの私の仕事じゃない。
狸と狐しか集まらなかったというのも困るけどね~


なんてことを言いながら、本題に、、、、、
なに? 前置きが長すぎる、、、、
そうね~ 自分でも分かっているんだけど、歳をとるとこうなるのよ。

その、広告バーターで航空会社と交渉するときに、相手は航空券代を定価で見積もってくる。こっちは「実勢価格は、その四分の一でしょう。それを反映してよ」って言い続ける。でもね~ 40年近くそのことをやってきて、お付き合いででも、こっちのいいなりになってくれたのは一度きりってのは、、、惨敗ですね。

担当者には、さんざん文句を言うけど、彼らも実勢は知っていてもそれが彼らの限度。おまけに、企画を離れたところでは、安い切符を紹介してくれたり、もっと安いのはっていうと、うちではこれが限度だけど、連絡しておくからここのエージェントに行ってよとか、だまってアップグレードしていてくれたり、、随分と面倒見てもらっているし、担当者も何十年も付き合った仲間だし、文句は言えないよね。

似たことは、年中ごひいきにしてもらっている、、、? させてもらっているかな? カメラのサポート。
積極的に知らせてはいないけど、古いレンズを持っていけば新しいレンズを割り引いてくれるところがあるんです。私のカメラのメーカーもそう。でもね~ 3割引きにしてもらっても、新品の実勢価格はそれよりもっと安いんです。知らずにそれを買って、後で実勢を見たら、不愉快になるでしょうね。メーカーは「古くからの顧客に対するサービスの一環です」って胸を張るけど、顧客のためのサービス、善意(いい意味で解釈すればですよ)が却って顧客に不満を与えることになるのは、メーカーも現場なら知っているはずなんですけどね。
もし私が担当だったら、お客に対してはそっと、他のお店で値段を調べてください、その上でこちらでお買い求めになりたければどうぞっていうでしょうね。


さんざん、あちこちから「浮気者」なんて叱られたけど、、、
一緒のお墓に入るはずだったジムニーちゃんの代わりが昨日届きました。

モデルチェンジの数日前ということもあって、担当者がとてもがんばってくれました。
それはそれで感謝なんですけど、、、
純正のナビをつけるのが嫌で(純正だといろんなプロテクションがかかるのでとても不便なんです)社外品でインダッシュに収まるものをって考えていたんですけど、メンテナンスパスポートとCDをはずして、多少上乗せすればインダッシュのものをお付けしますというのでそれにしたんですね。
これだけで14万近いお金。
ところがこのナビの実勢価格を調べると、5万なんです。ナビの取り付けで9万も余計にかかっているのかな?
しかも、何度もセールスに欲しいなって言っていたバックモニター。ちょっと上乗せすると、バックモニター同梱のタイプもあるじゃないですか。このタイプ専用のバックモニターを単独で買っても1万3千くらい。

彼はそれまでいろいろと努力してくれたのは重々分かっているので、たぶん、彼の買値が高かったんだろうって無理に自分を信じさせて、不信を覚えないようにしてはいるけど、でも、素人の私が5万1千でおつりがくる物を、業者価格で買えばいくらだろうって思いは残っちゃいますよね。
彼なりの努力が、逆に相手に不快な思いをさせたのかな???

CDと、メンテナンスパスポートをはずして、その分の14万値引きした方がずいぶんとすっきりしたのに。
はっきり言って、トヨタさん、顧客への思いやりで、次の顧客を一人失った。