goo blog サービス終了のお知らせ 

旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

デンマークに学ぶ「貧困・格差の克服」

2009-12-30 16:57:45 | 政治経済

 今年も沢山の本を読んで学ぶところが多かった。その中で心に残る一冊として、千葉忠夫著『世界一幸福な国デンマークの暮らし方』を挙げておく。

 この本によると、二つの調査でデンマークは「世界一幸福な国」になっている。一つはアメリカのワールド・バリューズ・サーベイの調査で、「あなたは幸せですか? 今の生活に満足していますか?」の質問に「幸せです」と答えた人数が一番多かったこと。もう一つはイギリスのレスター大学の心理学者が、世界178カ国の経済状況、医療制度、教育などのデータ分析ではじき出した幸福度ランキング。これでもデンマークが一位だ。因みに二位はスイス、三位はオーストリアで、アメリカは23位、日本はなんと90位と言うことだ。
 著者は、現在のデンマークが築き上げられた原点を160年前のアンデルセン(同国が生んだ偉大な童話作家)の思想に求め、『アンデルセン童話集』の中の話を解説しながらこの書を以下の通り展開している。

1.『マッチ売りの少女』が幸せになるために貧困を考える
2.『裸の王様』のようにだまされない政治を考える
3.『みにくいアヒルの子』をいじめない教育を考える
4.『赤い靴』は無責任の教え、社会のあるべき姿を考える
5.『ナイチンゲール』の歌声と介護の心から福祉を考える
6.『人魚姫』の選択を通じて自律することを考える

 一言で言えば、デンマークは160年かけて現在の福祉国家を作り上げたと言うのだ。アンデルセンが生まれた200年前はまだ貧しい国であったが、アンデルセンが書いた童話集(160年前出版)の夢を実現しつつ現在に至ったと言うのだ。
 ここ数年、急激に顕現化してきた貧困、格差問題を前に、どのような国を目指すべきかを考え続けているが、その一つを北欧諸国の国々に求める。中でもデンマークはその先端を行っているのであろう。
 叙述のしかたを含め素晴らしい本だと思う。
                           


投票ボタン

blogram投票ボタン